「ヨーギーの疾走する馬の歌」
恵み深き父、マルパの御足に礼拝いたします。
わたしの身体である山の庵で、
わたしの胸である祭壇で、
わたしの心臓である三角の頂で、
わたしの心である馬は、風のように疾走する。
もし彼を捕えるなら、どのような投げ輪によって捕えようか。
もし縛るなら、どのような杭に縛ろうか。
もし飢えれば、どのような飼い葉を与えようか。
もし喉が渇けば、いかなる飲み物が与えられ、
もし寒くなれば、どのような壁で守ろうか。
捕えるなら、無条件という投げ輪で捕えよう。
縛るなら、瞑想の杭に縛り、
飢えるなら、グルの教えを与え、
喉が渇くなら、意識の流れの飲み物を与え、
寒くなれば、空の囲いの中に囲われねばならない。
鞍と手綱として、優れた方便と智慧を使おう。
不動という胸がいを備えよう。
生命を支えるエネルギーという面がいや鼻皮を通そう。
その騎手は正智の若者。
彼は兜として、マハーヤーナの解脱の態度をかぶる。
鎧は、教えを聞き、考え、瞑想すること。
背には忍耐の盾を背負い、
完全に見るという槍を持つ。
腰には智性の剣を下げる。
根源的意識という矢が曲がっても、
怒らずに、真っ直ぐにする。
それに、四無量心の矢羽がつけられ、
洞察力という鋭い矢先を付ける。
そして智慧のしなやかな弓に番えられ、
哀れみ深い方便という深い矢筈を付ける。
非二元性の無限を量って、
世界中に矢を放つ。
彼に狙われるのは、誠実な人である。
彼が殺すものは、彼らの自己への執着である。
このように彼は、敵であるすべての邪悪な欲望を征服し、
味方として六界の衆生を守る。
この馬は、大きな至福の野を駈ける。
粘り通すなら、如来の位を得る。
後退しては、サンサーラの根を断ち、
前進しては、覚者の境地という高い国にいたる。
このような疾走する馬に乗り、最高の覚醒に達する。
あなたの幸福は、これと較べられようか。
わたしは、現世的幸福を望まない。