yoga school kailas

「ナーグ・マハーシャヤ」(18)

 ナーグ・マハーシャヤの妻は、彼の第一の信者でもありました。彼女は毎朝誰よりも早く起き、朝の家事を終えるとすぐに礼拝と瞑想にふけりました。彼女は、夫と客が食事を終えるまでは、自分が食事の席に着くことはありませんでした。そしてだれにも、彼女の妹のハラカミにさえ、自分の仕事を手伝うことを許しませんでした。

 彼女は、夫のナーグ以外に神を知りませんでした。ナーグ・マハーシャヤが彼女の唯一の礼拝の対象であり、彼に対して心からの信仰と崇拝をささげ続けていました。

 マハーシュターミという祝福された日に、彼女はナーグ・マハーシャヤの足もとに花をささげたいと思いました。しかし謙虚なナーグは、それを許しませんでした。すべての衆生を神と見ていた彼は、
「私が礼拝しているその人から、誰が供物を受け取ることなどできましょうか」
と言いました。しかし彼女はあきらめずにチャンスを待ちました。そしてナーグが何気なく隅に立っているときをとらえて、彼の足もとに花を捧げました。そうして彼女は、捧げたその花を金のロケットに入れて首にかけました。

 ナーグ・マハーシャヤの信者たちにとって、彼女は神聖なインスピレーションの尽きざる源泉でした。彼女は信仰と慈愛そのものであり、女性としての美徳をそなえていました。他者への奉仕における彼女の優しさ、辛抱強さ、忍耐力、そして自己犠牲と、一切を超えた彼女の純粋さや苦行は、誰の心をもとらえずにはおきませんでした。

 彼女の母、すなわちナーグ・マハーシャヤの義理の母は、非常に信心深い女性でした。あるとき彼女はカルカッタに上京し、娘と義理の息子(ナーグ)とともに、クマルトゥーリに滞在しました。そこで彼女は毎日ガンガーで沐浴し、川底の泥でシヴァの像を造り、礼拝しました。
 ある日、彼女が礼拝していると、シヴァの像の頭部に、ひび割れがあるのを発見しました。これは良くない前兆であると考え、彼女は身震いしました。ひどく心をかき乱され、ガンガーの岸辺で一日中泣いていました。暗くなっても彼女が帰宅しないので、ナーグは心配して探しに出かけ、ガンガーの岸辺で泣いている彼女を見つけました。事情を聞いたナーグは彼女に、何も悪いことが起きることはないだろうと言って慰めました。
 しかし彼女は家に帰ってからも、食事もせずに、悲しくみじめな気持ちのままベッドに入りました。その夜彼女は、シヴァ神が彼女の前にあらわれ、次のように語る夢を見ました。
「私はあなたに非常に満足している。あなたはもう私を礼拝する必要はない。」
 翌朝、彼女はそれをナーグに話しました。そしてその日を境に、彼女の神像への礼拝は終わりを告げました。誰かが彼女にその理由を尋ねると、彼女は言いました。
「私はシヴァを義理の息子として手に入れました。この上、シヴァの像を礼拝する必要がありましょうか。」

つづく

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする