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「グル・リンポチェ」(10)

◎サホールのマンダーラヴァ王女

 ダーティーシュワリーの転生であるマンダーラヴァは、サホールのラトナプリで、吉兆な印に囲まれて生まれました。ほとんどの学者たちは、サホールは今の北インドにあるヒマーチャル・プラデーシュのマンディだと主張しています。
 マンダーラヴァの父親はアルシャダラ王で、母親はハウキといいました。
 彼女の名声と美しさによって、多くの王たちが求婚のために懇請や脅しで王宮を乱したため、マンダーラヴァは非常に悲しんでいました。彼女は現世に強い嫌悪を感じ、残りの現世の人生を放棄して、出家して尼僧になりました。

 グル・リンポチェは神秘的な力によって、マンダーラヴァと出会う時期だと感知し、マンダーラヴァとその百人の官女が尼僧として暮らす尼僧院へと行き、彼女たちに教えを説きました。このことが悪意をもって王に報告され、グル・リンポチェは巨大な薪の山の上で焼かれ、マンダーラヴァは針だらけの穴に投げ入れられましたが、グル・リンポチェは神通力で火を湖に変えました。グル・リンポチェは湖の真ん中で、蓮の上に座っている姿で発見されました。

 王と大臣たちは、激しい後悔の念と新たな信をもって悪事の許しを請い、グル・リンポチェに、王国とマンダーラヴァ王女を差し出しました。
 サホール王国でグル・リンポチェはタントラの教えを説き、王や王女、大臣を含めた多くの人々が、ヴィディヤーダラのステージに到達しました。マンダーラヴァはグル・リンポチェのコンソートとなり、二人はマラティカ渓谷に行き、長寿の仏陀であるアミターユスの瞑想を行いました。グル・リンポチェとマンダーラヴァは無限の生の仏陀のヴィジョンを見、生をコントロールする力を持つヴィディヤーダラの境地に到達しました。
 その後、マンダーラヴァはインドで利他行に専念し、グル・リンポチェはチベットへと旅立ちました。マンダーラヴァもまた神通力とヴァジュラの光の身体を使い、チベットを二度訪問しました。

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