◎欲望の本質
◎欲望の本質
【本文】
虫に悩むハンセン病患者が慰安を求めて火に近づいても安らぎを得られないように、欲望を貪る人もそれと同じである、と知るべきです。
昔のインドは、ハンセン病患者が多かったみたいで、仏典にもたとえ話としてよく登場しますね。
ハンセン病というのは肉とかが腐り落ちていってしまうわけだけど、そういう病気とか、あるいは皮膚病とかは、煩悩のたとえとしてよく使われます。
われわれには皮膚病でたとえたほうが分かりやすいので皮膚病でたとえるけども、皮膚病でかゆくてしょうがないときに、かきむしったりすると、一時的には気持ちいい感じがする。でもそれは一時的なものだし、結果的にはかきむしったことによって、皮膚病はより悪化してしまう。煩悩を満たすことも、それと同じようなものだということだね。
つまり煩悩の喜びっていうのは、積極的な、プラスの喜びじゃないんだ。皮膚病をかいたときの安らぎみたいなもので、この輪廻の苦悩を一時的なほうほうでごまかしたときの喜びに過ぎないんだね。
そうじゃなくて、このたとえでいったら、皮膚がかゆくてもかくのをやめて、しっかり治療して、その皮膚病そのものを治せと。
同様に、苦しくても煩悩に逃げるのをやめて、修行によってしっかりと心の治療を行なって、輪廻という病から解放されなさいということですね。その輪廻という病から解放された状態こそが、われわれにとっての唯一の真の安らぎなんだね。