◎三つの低い徳の浪費
ところで普通の場合は徳が積まれてもそれイコール、クンダリニーにはならない。どうなるかっていうと、我々の下の方の煩悩を満たすために使われて終わってしまう。一番下の――チャクラの話は後でやるけれども――一番下のチャクラっていうのは我々の肉体的な健康とか頑丈さと関係があります。それから精神的には怒りと関係があります。だから徳っていうものを一番下のチャクラで満たそうとする人は、まず身体が非常に健康になる。まあ、これは別にいいことだけどね。それから精神的に、怒りによって人を押さえ込むと言われています。つまり例えばもやもやとしたストレスがあったとして、徳の力を怒りの力に変えて、「お前こうだ!」と、バーッと相手を攻めて、相手はシュンとする。それで喜ぶ。最も最悪な徳の使い方。
だって徳のエネルギーを使って悪業を積んでるわけだから。つまり変な言い方をすれば、相手を怒って相手を叩きのめせるもの徳なんです。それはもちろんやってはいけない。やってはいけないんだけども、最も低いレベルでの徳の使い方がこれです。
二番目の使い方。これは性器のチャクラ。これはいわゆる性欲だね。つまりセックス。
あるいはセックスじゃなくても男女間の性的な、精神的な喜びとか、あるいは恋愛とかも含めてだけど。ここに徳を使った場合、これはまあ、二番目の低レベルな徳だってことになります。そこで現代ではもちろん恋愛の時代だから、普通にみんな恋愛して、あるいはセックスをして、徳を漏らし続けている。しかしこれもそんなことで得られる喜びよりももっと高い喜びがあるってことだね。それを認識して断たなければいけない。
三番目のお腹のチャクラ。ここで徳が漏れた場合、一つは物質的利益。例えばお金が儲かるとか、あるいは欲しいものが手に入るとか、そういう物質的な豊かさだね。もう一つはいわゆる普通の意味での頭の良さです。お腹のところで徳が使われてる人っていうのは、物質的に豊かになるか、非常に頭が良くなります。このどちらかが手に入る。しかしこれもまだ、低レベルだってことだね。
あ、あとお腹の場合は食べ物もあるね。おいしい食べ物をいっぱい食べられる。
現代人の場合は「徳を積みました!」って言ってもだいたいこの三つに浪費されるわけです。誰かを怒ってるか、性欲や恋愛を楽しんでいるか、お金を儲けてるか、あるいは頭のよさに使われているか、あるいはおいしいものを食べられるか。
◎クンダリニーとは
で、クンダリニーというのはこの強烈な徳の塊を下ではなくて上に逆流させるんだね。これがクンダリニーといってもいい。プロセスからいうと、クンダリニーの覚醒の前に、ヨーガ的に言うと……この尾てい骨を基点として背骨の中にスシュムナーといわれる道があります。ヨーガではスシュムナー。中国ではまた全然違う名前がついてるけど。このスシュムナーていうのは体中にある気道の一つですが、普通の人はほとんどここを使っていません。これは修行の気道なんだね。
ヨーガ修行が進んでくると――この下の方にアパーナ気と呼ばれる気がありますよね。普通は排便とか排尿に使っている気がありますが、まずこれが逆流しだします。アパーナ気が上昇し始めます。アパーナ気がこのスシュムナーの中を通っていってスシュムナーをまず掃除するんだね。クンダリニーがちゃんと昇れるように。掃除をし始めます。
そして次。次にやっとクンダリニーが本格的に目覚め始めます。このクンダリニーの覚醒っていうのはよくいろんなところで出てくるんだけど、まあ、全てあいまいな書き方をされているんですが、ぶっちゃけて言ってしまえば、さっき言ったその徳の力が下に向かっていたものが逆流して上に向かうようになった状態、と言ってもいい。それによってこの徳の力は姿を変え、上昇のエネルギーに変わります。それがクンダリニー。
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