第一章 アーサナ
以前、ハタ・ヨーガの経典である「ゲーランダ・サンヒター」をもとに「ハタヨーガ・スートラ」というシリーズをまとめましたが、今回から、同じハタヨーガの経典である「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」をもとに、『ハタ・ヨーガの教え』というシリーズをまとめていきたいと思います。
このシリーズは、『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』をもとにしてはいますが、直訳そのものではありません。あくまでも私の経験や理解をもとに、私の独断で、様々なことを付け加えたり、削除したり、編集したりしていきますので、ご了承ください。原典そのものを読みたい方は、『ヨーガ根本教典」(平河出版)などをご参照ください。
第一章 アーサナ
ハタ・ヨーガの道を太初に示したもうたシヴァ神に帰依し奉る。
聖なる祖師シヴァ神をはじめ、マッチェーンドラ、ゴーラクシャ、カーパーリカ等、その他多くの偉大な大師たちは、ハタ・ヨーガの力で死神を打ち破って、大宇宙の中を遊歩したもう。
ハタ・ヨーガは人生の苦熱に悩むすべての人々のよりどころであり、またヨーガの道に励むすべての人々のよりどころでもある。
およそシッディを得ようと思う行者は、ハタ・ヨーガの技法を極秘にしなければならない。
行者は、人民が善良で、犯罪のない国において、人里離れた場所に庵室を結んで住むのが良い。
ハタ・ヨーガの道にいそしむ大師たちは、理想的なヨーガの庵室を、次のように説いている。戸口は小さく、窓は無く、床のくぼみも無く、隙間も無く、屋根は高過ぎず低過ぎず、広すぎず、汚れなく、一匹の虫もおらず、戸外にはテラスや井戸などがあり、住み心地よく、周りを塀で取り囲んでいる。
そしてすべての心遣いを捨てて、グルに教示された道によって、もっぱらヨーガの修行だけにすべての時を捧げなければならない。
ヨーガは、次の五つの事柄によって崩れる。
①過食
②過労
③必要のない戒律や伝統へのとらわれ
④多すぎる人付き合い
⑤落ち着きのないこと
ヨーガは、次の六つの事柄によって成功する。
①熱心
②思い切って行なうこと
③不屈
④正しい知識
⑤信念
⑥多すぎる人付き合いをしないこと
また、ヨーガ行者は次の禁戒と勧戒を日々守らなければならない。
◎禁戒(ヤマ)
①非暴力・不殺生
②誠実
③不盗
④梵行(禁欲)
⑤忍耐
⑥心身を剛健に保つこと
⑦私欲がなく正直であること
⑧慈悲
⑨節食
⑩所有欲を持たないこと
◎勧戒(ニヤマ)
①苦行
②知足
③至高神への信仰
④布施
⑤至高神への供養
⑥聖なる教えの学習
⑦慙愧
⑧賢明であること
⑨マントラを唱えること
⑩心身を清浄に保つこと
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