序
「覚醒の虹の宝飾」
序
ここに『覚醒の虹の宝飾』と名づけたシリーズは、ガンポパの「解脱の宝飾」を骨組みとして、私の見解や経験も踏まえ、さまざまなことを付け加えたり削除したりして、真理の教え、修行の道の全体像を要約したものです。
世尊と菩薩と聖なる真理と、偉大なるグル方に帰依し、如意宝珠のようなこの真理の宝を、自己と衆生のために、まとめたいと思います。
◎輪廻とニルヴァーナ
輪廻とは錯乱であり、苦しみです。
その錯乱の消滅をニルヴァーナといい、苦しみからの解脱です。
誰が錯乱しているのでしょうか? この三界(全宇宙)に住む、解脱していないすべての衆生が、錯乱しています。それは無明によって、空性の真実を見失い、錯乱しているのです。
錯乱した衆生は、地獄・動物・餓鬼・人間・阿修羅・天という夢を見ています。
この錯乱は苦しみしか生みません。そして無上の正しい覚醒を得ることによってのみ、錯乱から解放されることができます。
よって、この輪廻がいかに錯乱であるか、そしてそこで生じる苦しみがいかに大きなものを考え、今この瞬間から、無上の正しい覚醒を得るために、精進しなければなりません。
◎六つのポイント
そしてそのためには、以下の六つのポイントを理解しなければなりません。
①無上の正しい覚醒を得るための因
②無上の正しい覚醒を成就するためのよりどころ
③無上の正しい覚醒を成就するための条件
④無上の正しい覚醒を得るための方法
⑤無上の正しい覚醒を成就することの果報
⑥無上の正しい覚醒を成就した後になすべき事業
それらをまず簡単にまとめるならば、
①その因となるのは、すべての衆生の中にある、如来の本性です。
②よりどころとなるのは、この人間の身体です。
③条件となるのは、自分と縁のある正しい師です。
④方法は、師の教えです。
⑤果報は、聖なるブッダの状態です。
⑥なすべき事業は、すべての衆生を救済することです。
この「覚醒の虹の宝飾」においては、これらについて順次簡潔に説いていきたいと思います。
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