「ミラレーパの生涯」第三回(5)
「我が師について瞑想したので、勢力と権力を有する者たちのことは忘れてしまいました。」
これもさっき言ったこととも関わりあるけれども、ミラレーパにとってのね、心を向ける対象、あるいは偉大な存在として見る対象は、自分の師、マルパだけだったんだね。だから、なんていうかな、相対的な高い地位とか低い地位とか、そんなのは一切ないんだね、ミラレーパにとってはね(笑)。あるのはグルだけなんですよね。これもだからそれくらいの――つまりこの現世における権力であるとか地位とかを、それくらいね、まあ自分の師とか、あるいは神とか仏陀でもいいけど、そのようなものに心を合わせて、超えなきゃいけない。