パドマサンバヴァの秘密の教え(101)「死についての想起」
◎死についての想起
「人は死について考えない。人間の人生は籾殻の山、あるいは峠の上の羽のようなものだ。
死神は、雪崩や嵐のように、突然やってくる。
心の平静を乱す感情は、藁に引火するようなものだ。
あなたの寿命は、沈む夕日の影のように減少していく。
三界のすべての衆生は、自ら生み出した怒りの黒蛇に、自らを絡ませている。
彼らは彼ら自身を、自ら生み出した愛著の赤い雄牛の角で串刺しにしている。
彼らは自ら生み出した迷妄の暗闇で、自らを曖昧にしている。
彼らは自ら生み出した慢心の断崖に自らを縛り付けている。
彼らは自ら生み出した妬みのジャッカルによって、自らをずたずたにしている。
人々は、心の平静を乱す五つの危険な汚れから逃れ損ねていることに気付かない。
人々は、この輪廻の生の楽しみを経験する為にはどんなことでもする。
この人生は一瞬で終わるが、輪廻には終わりが無い。
次の人生で何をするのか?
また、この人生の長さは保障されていない。死期は不確実で、まるで囚人が処刑台に連れて行かれるようなものだ。あなたは一歩ずつ死に近付いている。
すべての生き物は、非永続的で、必ず死ぬ。
過去に死んだ人のことを聞いたことがないか?
あなたの親族が死ぬのを見たことがないか?
我々が歳を取ることに気が付かないのか?
そして未だに、あなたはダルマを修習せずに、過ぎ去った苦しみを忘れる。
あなたは未来の苦しみを恐れず、悪趣の苦しみを無視する。
一時的な状況に追い回され、二元的な固定という縄に縛られ、欲望の川に疲労困憊し、輪廻の存在という蜘蛛の巣に捕われ、カルマの成就という、きつい足枷によって捕われている。
ダルマの便りが届いても、あなたは未だ気晴らしに執着して無頓着なままである。
あなたのような人には死は訪れないというのか?
私はこのように考えるすべての衆生に同情する!」