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空の入口

 仏教やヨーガでいう「空」とは、ただの概念ではなく、到達すべき境地である。

 そしてその最初の入口は、「空間が無限である境地」である。

 空間が無限であるということはつまり、自分と他者の区別がないということである。

 自分とか他人とか、これとかあれとかいう認識が始まった段階で、空間が必要となるからである。

 ということは、空の境地に至るには、まず「嫌悪・怒り・憎しみ」があってはならないということだ。
 嫌悪・怒り・憎しみこそが、自分と他人を徹底的に区別する最たるものであるから。

 よって「空」の境地に入るには、まず嫌悪・怒り・憎しみを、徹底的に自分の心から取り除かなければならない。
 
 よく、「空とはこうだ!」「お前は間違っている!」と、嫌悪むき出しで論争している人たちがいるが、それは全くナンセンスだということになる。その嫌悪を捨てない限り、彼らは一生、空を理解することはできない。

 またこの空の入口の境地は、色界の第一段階の瞑想とも関係してくる。

 色界の第一段階の瞑想に必要なのは、まず現世的な貪りをできるだけ弱めること、徳を積むこと、そして正しい教えを学び、それを心に根付かせることから来る歓喜である。

 それをもとに慈愛を高めていくことによって、歓喜は増大し、そこからより深い意識に入ることによって、空性の入口の世界に足を踏み入れることができるのだ。

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