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流水

 人間の執着というのは、苦しみを増し、人生を誤らせますね。

 ここでいう執着っていうのは、性欲がどうとか食欲がどうとかいうことではなくて、あらゆる流れ行くカルマの動きに対する執着とでもいえばいいだろうか。

 たとえば昨日、あるネガティブな意識状態になった人がいたとします。でもそれは、昨日のことなんだね。昨日のことなのに、その自分の過去の瞬間的な意識状態に執着して、苦しみを引きずり続けてるのは、その人自身なんだね。
 

 原子運動がそうであるように、カルマの流れも、人間の意識も、瞬間瞬間、移り変わっているんだ。だから心は一時も、執着しちゃいけないんだね。瞬間瞬間、新鮮な気持ちで、ありのままにすべてを見つめなきゃいけない。

 そうしたらね、人を憎むなんてことはなくなるよ。瞬間瞬間ね、新たな気持ちでね、人との出会いを喜べるようになる。

 欲求不満とかもなくなるだろうね。ある時に沸いた欲求に対するとらわれを持ち続けてしまうから、動き行く現象とのギャップで欲求不満に陥るんだから。

 瞬間瞬間、すべてが生まれ変わり、すべてが新しい! この自然の真理は、すばらしいと思わないか? 仏教でいう無常っていうのは、ネガティブな意味で表現されがちだけど、見方を変えれば、非常にすばらしいんだよね。

 無常そのものが苦しみじゃないんだ。無常はこの世の真理だからね。無常なのに、その過ぎ行くカルマにとらわれるから、執着するから、苦しいんだ。

 また、瞬間瞬間冷静に見れば正しい判断ができる人も、執着によってものを見誤る。恋愛なんかで多いパターンだけどね。ギャンブルにはまるパターンとかも同じだね。

 流れる水は清らかだけど、執着によって流れを止めたとき、無理が起こるんだね。圧迫と錯覚と苦しみが起きるんだ。  

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