パトゥル・リンポチェの生涯と教え(75)
◎別の大物ラマとの謁見
キェンツェー・ワンポに会うことをやめてゾンサルを発った後、パトゥルは遂にパルプンに到着した。パトゥルは、隠遁所が集中しているツァダ・リンチェン・ダク(ツァリのような宝石の岩壁)を登った。パトゥルはそこでジャムゴン・コントゥル・リンポチェに会いたかったのだった。その隠遁地で、パトゥルはジャムゴン・コントゥルの従者を見つけ、ぶっきらぼうにこう言った。
「コントゥルに合わせてくれ! 今すぐ!」
少し驚いて、コントゥルの従者は、ジャムヤン・キェンツェー・ワンポの従者がゾンサルでした対応とほとんどまったく同じことをした。
「すみませんが、コントゥル・リンポチェは今、独居修行に入られています。ですから、今すぐにはあなたを入れることができません。」
従者は説明をした。
「少しここで、お待ちいただけないでしょうか? 修行の時間が終わって、コントゥル・リンポチェがお会いできるようでしたら、呼んできますので。」
「そうかい。あいつに会いに入ってはいけないということかね?」
「ええ、おそらくお会いすることができるとは思うのですが、待たねばなりません。そしてまずはわたしが許可をとらなくてはなりません。あなたが真っすぐにコントゥル・リンポチェに会うことはできませんね。」
「待てだと?」
パトゥルは言った。
「わたしには待つ時間などないのだよ! 昔、コントゥルとわたしは、マハーパンディタ・シェチェン・オントゥルから一緒に教えを受けた。その当時あいつは、ヤギの皮のコートを着ていた若造に過ぎなかった。今となっては、私が中に入って謁見を許されないほど大物になったというわけか?」
こう言うと、パトゥルは立ち上がって去っていってしまったのだった。