バクティの精髄(27)
◎パラーバクティ(至高のバクティ)
パラーバクティ(至高のバクティ)は、バクティの最高のかたちである。
サンダルの粉、花、アーラティで神像を礼拝することから始まる普通のバクティは、最終的にパラーバクティに至る。
このタイプのバクタは、神像を礼拝しない。
彼はベルを鳴らさない。
彼は額にティラカをつけない。
彼は寺院を訪ねない。
彼は巡礼をしない。
彼はなんの規則や慣習にも縛られない。
ヴァイディーバクティが完全な成長を遂げると、パラーバクティとなる。
ヴァイディーバクティとは、規律に則って行なうバクティである。
パラーバクティに確立されたバクタにとっては、全世界がヴリンダーヴァンである。
彼は、主ハリあるいは主クリシュナを至るところに見る。
ナマールヴァールは、これを経験した。
彼は大地を抱きしめ、こう言った。
「おお! これはヴァーマナの大地だ!」
彼は空を指さして、叫んだ。
「見よ! 主のヴァイクンタがある!」
彼は涼しいそよ風を抱きしめて、こう言った。
「これは、わがアチュタ(クリシュナ)だ!」
彼は故意に炎を抱きしめ、こう言った。
「おお、不滅のアナンタよ!」
彼は海に向かって手をあげ、叫んだ。
「見よ! わが主が休息されている海である!」
彼は丘を指差して、こう言った。
「おいでください、荘厳たるハリよ! ほら、わがヴィシュヌが来られた!」
彼は、巨大な黒雲を見ると、こう言った。
「あれは、わが主クリシュナだ!」
ナーマデーヴァは、パラーバクティのバクタであった。
彼は至るところに主クリシュナを見ていた。
干からびたパンをくわえて逃げる犬を、彼はギーを塗ってそのパンを柔らかくしようと、ギーが入ったカップを持って追いかけた。
彼は犬の中にも主クリシュナを見ていたのだ。
ツカラムも、そのようなバクタであった。
彼はこう言った。
「砂糖がサトウキビジュースに遍満しているように、主クリシュナは全世界に遍満している。」
プラフラーダは柱の中にハリを見、父に『主ハリは柱の中におわします』と言った。
プラフラーダの信仰は、信仰の最高のかたちである。
パラーバクティは、一日や二日で到達できるようなものではない。
それを開発するためには、長い年月を要する。
人は、バクティの基礎階梯を修めなくてはならない。
寺院を訪れ、巡礼し、花やサンダルの粉を捧げ、アーラティを行なわなくてはならない。
バクタに奉仕し、ジャパ、キールタン、瞑想を行なわなくてはならない。
ナヴァヴィダーバクティ(九つの信仰のムード)を実践しなくてはならない。
ラーマーヤナ、バーガヴァタ、あるいはその他のバクティを扱った聖典を学ばなくてはならない。
霊性の進化は、段階的になされる。
罪で硬くなった心は、柔軟にならなくてはならない。
バクティ修行の道は、信、随喜、熱意をもって、完璧に修めなければならない。
そうして初めて、ヴァイディーバクティ(規律に則って行なうバクティ)はパラーバクティ(至高の信仰)へと成長するのだ。
クリシュナの栄光を聞きそして歌うことで、彼への自然な愛の感情が生まれる。
この愛の感情(ラティ)が強烈になると、バーヴァ、プレーマ、マハーバーヴァと呼ばれるものになる。
あるブラフマジュニャーニはこう言っている。
「サルヴァム・カルヴィダム・ブラフマー――すべてはまさにブラフマンである。」
パラーバクティのバクタは、こう宣言している。
「サルヴァム・ヴィシュヌマーヤム・ジャガット――全宇宙はヴィシュヌただ御一人しか存在しない。」
「ヴァースデーヴァハ・サルヴァム・イティ――まさにすべてがヴァースデーヴァ。」
パラーバクティとジュニャーナは同一なのである。