パトゥル・リンポチェの生涯と教え(55)
◎生命あるものの踊り、生命無きものの踊り
ニョシュル・ルントクは、イェル・レ・ガルの「新たな宝石」の系統の儀式である壺の成就の儀式に参加した。儀式の祈りの間、智慧の神々が僧たちを介して顕われ、僧たちが急に踊り出したのだった。
ルントクが戻ると、パトゥルが何が起こったのかを尋ね、ルントクは目にしたことを答えた。パトゥルは意見を述べた。
「おお、今日は生命あるものが踊ったか! ときどき、生命無きものも踊り出すのだよ!」
ルントクが、それはどういうことなのかと尋ねると、パトゥルは答えた。
「あるとき、シュグ・シャル僧院で、私はカマの十三すべての曼荼羅の詞章を唱えていた。ログの系統のヴァジュラキーラの詞章を唱えていたとき、曼荼羅を留めておくために曼荼羅の上に突き立ててあった小さな銅のプルバが、踊りだしたのだ!」
「なぜ、そのようなことが起こったのですか?」
「わからない。それが善いことなのか、悪いことなのかもわからない。」
「そのプルバは、まだお持ちですか?」
ルントクがそう尋ねた。
パトゥルは答えた。
「テルトン・ソギャル・レラブ・リンパにあげたよ。彼は、岩の中に隠されたテルマ(埋蔵経)を発掘するために、そのプルバを使ったそうだ。そのときに、まるで泥を突き刺すようにして、プルバが岩を貫通したと言っていた。」