パトゥル・リンポチェの生涯と教え(45)
◎パトゥル、猛吹雪の中でトゥモの修行をする
ある冬のことだった。パトゥルと彼の心の弟子のニョシュル・ルントクは、パクモ・ラと呼ばれる高山の山道を越えていた。その山道の峠のところで、彼らは猛吹雪に捕まった。ニョシュル・ルントクは吹雪の中でへたり込んだ。体が凍え切ってしまって、ほとんど動けなくなってしまったのだ。
パトゥルは、心から自然に湧き出てきた悟りの歌を歌った。
そしてパトゥルは元気よくこう言った。
「おい、ルントク!
今こそ、トゥモの修行をする時だ!」
しかしルントクは寒さに打ちのめされ過ぎて修行ができなかったので、パトゥルは独りでトゥモの修行を始めた。間もなく、修行の結果として、パトゥルの体が熱を発し始めた。
この内なる熱を発生させる修行によって、パトゥルはルントクを暖め、死の淵から救ったのであった。それから彼ら師弟の二人は、一緒にトゥモを行じ始めた。彼らの周りにできた雪の吹き溜まりが溶けるのに、そう長い時間はかからなかった。
パトゥルはこのようにして、アリの森の近くの、ド渓谷の奥地にあるディチュン洞窟で数年間暮らした。最初は、パトゥルと弟子のルントクが二人で森の中に住み、修行をしていたが、数ヶ月、数年と経つうちに、修行者が増えていった。彼らは教えを請い、瞑想修行をするためにそこで暮らした。
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