カトク・ケンポ・ンガワン・パルサンの生涯(3)
ンゴンドのグルヨーガの前に、彼はニョシュル・ルントクの主要な弟子の1人であるラマ・アトプから二巻のロンチェン・ニンティク・サイクルのアビシェーカを受け取りました。彼の師であるパトゥル・リンポチェと同様に、ニョシュル・ルントクも全生涯でほんの数回だけしかアビシェーカを与えませんでした。ルントクはケンポに、一般的なロンチェン・ニンティクと特別なグルヨーガの指導を与えました。
ケンポはシッディマントラを3000万回唱え、敬意の動きを伴った礼拝を10万回行ないました。
ケンポがニョシュル・ルントクから教えを受け取り始めたときから、彼は師を普通の存在であると思ったことは一瞬たりともなく、常に完全な悟ったブッダとして見ました。また、彼は自分の法の兄弟姉妹の誰に対しても、不適切に話したことはありませんでした。
ンゴンド修行のあいだ、彼の心が無思考の状態に溶け込み、一切の客観的な現われが溶解しました。彼の師はその重要性を最小限に抑え、こう言いました。
「それは普遍的な領域、つまり中立的な状態だが、悟りの本性ではない。」
グルヨーガの修行の後、ルントクは彼に三つの根本経典と他の多くの経典を含むタントラに関する詳しい教えを与えました。ケンポは49日間のリンジン・ドゥパに関する厳しい読誦の隠遁修行を行ないました。彼は生成の段階において大いなる透明性に到達し、シッディ・マントラを1000万回、そしてリクジン・チティル・マントラを1億回唱えました。
その後、ユムカ・デチェン・ギャルモに関する一か月間の隠遁修行を行ない、昼夜休むことなく修行しました。彼は努力なくマントラの音の力を聞くことができました。そして彼は神々や普通の現われのヴィジョンが心によって作り出された幻影や記号表示に過ぎないという並外れた悟りを得ました。
20歳のとき、ルントクの強い勧めに従って、アトプから僧としての完全な受戒の誓いを得ました。その後、彼は253の僧の誓いのすべてを守り、自分のために一切余分なものを持ちませんでした。彼がダルマの奉仕や他者のために何かしら余分なものを持つ必要ができたときは、トゥレン(ドゥス・ダン)、パンチェン・ロブサン・チョギェンによって書かれた“目的の念正智”を人に思い出させるための定型句を唱えてから初めてそれを手にしました。