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アディヤートマ・ラーマーヤナ(35)「ジャターユとの出会い」

◎ジャターユとの出会い

 このように森中を探し回っていると、ラーマとラクシュマナは、粉々になった馬車と壊れた弓を偶然見つけた。それらを見て、ラーマはラクシュマナにこう仰った。

「見ろ、見ろ、ラクシュマナ! ここでシーターを誘拐した者が何者かと争って、その者が彼から彼女を奪っていったに違いない。」

 そして少しそこから離れたところで、ラーマは小さい丘のような大きさの巨大な血にまみれた生き物を見つけ、ラクシュマナにこう仰った。

「ここに横たわっている者を見ろ。シーターを食って十分に満足した輩が、人けのない場所で休んでいる。
 弓と矢をとってくれ。早く。」

 ラーマのこの言葉を聞くと、ジャターユは恐怖に脅えた者のようにこう言った。

「私は己のカルマの終焉を迎え、もうすぐ死ぬでしょう。御身が私を殺す必要はありませぬ。御身に幸いあれ! 私はジャターユです。私は御身の奥方を連れ去ったラーヴァナを追いかけ、奴と戦い、奴の乗り物と弓を破壊しました。その後すぐに、奴は私の翼を断ち切り、私を地面に投げつけたのです。私の前にいらっしゃるあなたを拝見いたしながら、私はわが人生を終わらせましょう。」

 消えてゆく命を背負った彼を見るや、ラーマは悲しみに打ちひしがれて涙を流し、彼の身体を手で撫でてこう仰った。

「教えてくれ、ああ、ジャターユよ。誰が私の美しき妻を奪い去ったのだ? あなたは私のために死を選択したのだね。ゆえにあなたは私の非常に愛しき友だ。」

 ジャターユは血を吐きながら、非常に小さな声でこのように返答した。

「おお、ラーマよ、大変力強い悪魔のラーヴァナが、南方へシーターを連れ去っていったのです。私はこれ以上話すことができません。私はあなたの御面前で死にます。おお、聖なる御方よ! あなたを拝見しながら死ねるとは、なんと幸運なことでしょうか。あなたは、不可思議なる力、マーヤーによって人間の姿をおとりになられた至高主マハーヴィシュヌであります。実に命の終焉にあなたを拝見することで、私は解脱しました。私があなたの境地に到達することができるよう、その御手でもう一度私に触れてください。」
 
 ラーマが「いいだろう」と言って、御手で彼の身体を撫でると、ジャターユは遂に息を引き取り、倒れたのであった。
 ラーマは彼がまるで近しい縁者であるかのように彼の死に涙を流し、嘆いた。そしてラクシュマナがこしらえた薪の山の中で彼の身体を火葬したのだった。
 深い悲しみの中、ラーマはラクシュマナと共に葬儀を執り行うために沐浴した。ラーマは草で覆われた地に、この言葉を添えて殺戮された霊鷲ジャターユの肉の破片を撒き散らした。

「森のすべての鳥たちがこの肉を食べんことを! これによって鳥の王が満足せんことを!」

 そしてラーマは、このようにジャターユに呼び掛けられた。

「おお、ジャターユよ! あなたは私と同様な姿をした私の境地に達するであろう。」

 するとすぐに、ジャターユの魂が、太陽のように眩い天の乗り物に乗って光り輝く神の姿に化身した。彼は四本の腕に法螺貝と円盤と矛と蓮華を誇らしく掲げ、王冠と魅力的な装飾と光り輝く黄色い衣で飾られた姿を得たのだった。ヴィシュヌの使者に優しく受け入れられ、ヨーギーの一団に讃えられて、変貌したジャターユはこのようにシュリー・ラーマに言った。

◎ジャターユの賛美

 ジャターユは言った。

「数え切れない素晴らしい美徳を有し御方よ。時と空間によって限定されない御方よ。最も古き御方よ。世界の原因であり、維持であり、破壊であられる御方よ。シャーンティの輝きを持ちたもう御方よ。一切の魂の魂よ。そのような御方、ラーマチャンドラに私は礼拝を捧げます。
 一切の至福の座よ。ラクシュミー女神が絶えず見つめる対象よ。ブラフマーを含む一切のデーヴァたちの悲痛を取り除かれし御方よ。人間の中で最も気高き御方よ。すべての恩寵を授けられし御方よ。手に弓と矢を誇らしく掲げられし御方よ。全宇宙の中の形ある者たちの美の極致よ。祈りをささげられるに、賛美されるに最も相応しき対象よ。百の太陽の輝きを持ちたもう御方よ。一切の望むものを授けられし御方よ。帰依処を与えられし御方よ。バクティという木の根元に住まれし御方よ。ラグ族のすべての者を喜ばせし御方よ――そのような御方、ラーマに私は帰依し奉ります。
 輪廻という森を破壊する炎として讃えられし御方よ。シヴァと一切の神々の師である至高者よ。恩寵の化身よ。無数の悪魔の指揮官を滅ぼされし御方よ。ヤムナーの水のように青い肌をされし御方よ――そのような御方、真にハリそのものであられるラーマに、私は帰依処を求めます。
 世俗的な思考に常に心奪われている者たちからは遠く離れるが、世俗の思考を避ける聖者には常に目に見える御方。輪廻の海を渡るための真の船よ――そのような御方、ラグ族のラーマに私は帰依し奉ります。
 山々の主(シヴァ)とそのコンソートの心に住まれし御方よ。山を持ち上げられし御方よ。デーヴァと阿修羅の指導者の礼拝の対象よ。デーヴァの祈りを叶えられし御方よ。そのような御方、ラグ族の指導者ラーマに私は帰依処を求めます。
 他者の所有物と女を避ける者たちに礼拝されし御方よ。他者の幸福に関して常に細かいところまで気を配られる御方よ。他者の素晴らしい美徳と繁栄を喜ばれる御方よ――そのような御方、ラグ族の蓮華の眼をされし御方に私は帰依し奉ります。
 微笑まれることで魅力をもたらす満開の蓮華のような御顔をお持ちの御方よ。絶えずあなたへの思いを抱き続ける者たちの意識の中に快く正体を現されし御方よ。インドラ・ニーラ宝珠の色のように青い肌をお持ちの御方よ。白蓮華の花弁のように魅力的な眼をお持ちの御方よ。まさにシヴァとブラフマーのグルであられる御方よ――そのような御方、ラグ族の主に私は避難所を求めます。
 ちょうど一つの太陽が水に満たされたさまざまな器の中にさまざまに輝くように、あなたはあなたが無数の目的のためにおとりになるプラクリティの三グナに従って、ハリ、ブラフマー、シャンブーのようにさまざま様相でお現れになるのです。あの天界の王インドラの崇拝の対象であられるその御方を讃えて、私はこの賛美を歌います。百の愛の神よりも美しく、シャタパタ・ブラーフマナの中にある詩に沿って彼を瞑想する者たちに対しては遠く離れていない御方よ。一切を放棄した苦行者の心の中で常に光り輝く御方よ。すべての者の苦しみを取り除かれし御方よ。」

 この賛美を唱えたジャターユに非常に喜ばれ、ラーマはこのように話して彼を祝福した。

「私、マハーヴィシュヌは、あなたに私の至高なる境地を与えた。
 この賛美を毎日学び、あるいは聞き、あるいは書く一切の者たちは、死のときに私を思い出し、私の姿に達するであろう。」

 ジャターユはこのラーマの祝福を聞くや否や、言葉にならない歓喜に満たされた。彼はヴィシュヌの御姿に変わり、ブラフマーでさえも憧れるあの境地を得たのだ。

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