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ガティーカーラ経(1)

ガティーカーラ経

 このように私は聞いた。
 あるとき、仏陀はビックの大集団とともに、コーサラ国を巡遊しておられた。
 ときに、世尊は道から外れたところに行かれて、ある地所において微笑をお見せになった。そこで、高弟アーナンダには、このような思いが生じた。

「尊師が微笑をお見せになったことの、因は何であり、条件は何であろうか。原因がなければ、如来が微笑まれることはない。」

 そしてアーナンダは、片肌を脱いで、世尊に向かって合掌し、世尊にこう申し上げた。

「尊師よ。どのような原因とどのような条件があって、仏陀は微笑を見せられたのでしょうか。原因がなければ、如来が微笑まれることはありません。」

「アーナンダよ、その昔、この地にヴェーバリンガという名の村・市場町があった。富み栄え、繁栄し、多くの人口を有し、民衆でにぎわっていた。
 世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパは、ヴェーバリンガの村・市場町の近くに滞在されていた。アーナンダよ、ここに、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパの僧園があった。アーナンダよ、そして、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパは、まさにここに座っておられ、ビックの集団に訓戒なさったのである。」

 そこで高弟アーナンダは、正装衣を四つ折りにして敷き、仏陀に申し上げた。

「そうでしたら、師よ、世尊はお座りください。そうすればこの地こそ、お二人のアラハント・正しく最上の覚醒を得た人が慣れ親しんだ場所になります。」

 そして、世尊はもうけられた座にお座りになった。座られると、世尊はアーナンダにこうお告げになった。

「アーナンダよ、はるかな昔、まさしくこの場所において、ヴェーバリンガという名の村・市場町があった。富み栄え、繁栄し、多くの人口を擁し、人々でにぎわっていた。世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパは、ヴェーバリンガの村・市場町の近くに滞在されていた。アーナンダよ、ここに、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパの僧園があった。アーナンダよ、そして、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパは、まさにここに座っておられ、ビックの集団に訓戒なさったのである。
 アーナンダよ、ヴェーバリンガという名の村・市場町にいたガティーカーラ(壺作り)という名の陶器職人は、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパの奉仕者であり、最高の奉仕者であった。
 アーナンダよ、また、ガティーカーラ陶工には、友人であり、親友である、ジョーティパーラという名のブラーフマナ青年がいた。アーナンダよ、そこで、ガティーカーラ陶工は、ジョーティパーラ青年にこう問いかけた。

『友ジョーティパーラよ、さあ行こう。世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いしようではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 アーナンダよ、このように言われて、ブラーフマナ青年ジョーティパーラは、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『よそう、友ガティーカーラ。その禿げ頭のインチキ出家修行者に会って、何になるというんだ。』

 アーナンダよ、再び、ガティーカーラ陶工は、ブラーフマナ青年ジョーティパーラに話した。

『友ジョーティパーラよ、さあ行こう。世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いしようではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 アーナンダよ、再び、ブラーフマナ青年ジョーティパーラは、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『よそう、友ガティーカーラ。その禿げ頭のインチキ出家修行者に会って、何になるというんだ。』

 アーナンダよ、三たび、ガティーカーラ陶工は、ブラーフマナ青年ジョーティパーラに話した。

『友ジョーティパーラよ、さあ行こう。世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いしようではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 アーナンダよ、三たび、ブラーフマナ青年ジョーティパーラは、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『よそう、友ガティーカーラ。その禿げ頭のインチキ出家修行者に会って、何になるというんだ。』

『それなら、友ジョーティパーラよ、洗具と洗い粉を持って、川に沐浴しに行こう。』

『友よ、そうしよう』と、アーナンダよ、ジョーティパーラ青年はガティーカーラに答えた。そこで、アーナンダよ、ガティーカーラ陶工とブラーフマナ青年ジョーティパーラとは、洗具と洗い粉を持って、沐浴をしに川に行った。アーナンダよ、そして、ガティーカーラ陶工は、ジョーティパーラ青年に話しかけた。

『友ジョーティパーラよ、さあ行こう。世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いしようではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 アーナンダよ、このように言われて、ブラーフマナ青年ジョーティパーラは、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『よそう、友ガティーカーラ。その禿げ頭のインチキ出家修行者に会って、何になるというんだ。』

 アーナンダよ、再び、ガティーカーラ陶工は、ブラーフマナ青年ジョーティパーラに話した。

『友ジョーティパーラよ、さあ行こう。世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いしようではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 アーナンダよ、再び、ブラーフマナ青年ジョーティパーラは、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『よそう、友ガティーカーラ。その禿げ頭のインチキ出家修行者に会って、何になるというんだ。』

 アーナンダよ、三たび、ガティーカーラ陶工は、ブラーフマナ青年ジョーティパーラに話した。

『友ジョーティパーラよ、さあ行こう。世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いしようではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 アーナンダよ、三たび、ブラーフマナ青年ジョーティパーラは、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『よそう、友ガティーカーラ。その禿げ頭のインチキ出家修行者に会って、何になるというんだ。』

 アーナンダよ、すると、ガティーカーラ陶工は、ブラーフマナ青年ジョーティパーラの腰帯をぐいっとつかんでこう言った。

『友ジョーティパーラよ、この近くに、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパの僧園がある。友ジョーティパーラよ、さあ行こう。アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパのおそばに行こうではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 そのとき、アーナンダよ、ブラーフマナ青年ジョーティパーラはその腰帯を解きほどき、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『よそう、友ガティーカーラ。その禿げ頭のインチキ出家修行者に会って、何になるというんだ。』

 アーナンダよ、すると、ガティーカーラ陶工は、頭を洗い終えたブラーフマナ青年ジョーティパーラの髪をつかんで、こう言った。

『友ジョーティパーラよ、この近くに、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパの僧園がある。友ジョーティパーラよ、さあ行こう。アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパのおそばに行こうではないか。かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思う。』

 そのとき、アーナンダよ、ブラーフマナ青年ジョーティパーラはこう思った。

『本当に不思議なことだ。本当に驚くべきことだ。生まれが卑しい、このガティーカーラ陶工が、すでに頭を洗い終えた私の髪をつかもうと考えるなんて。これは本当に、些細なことではないに違いない。』

 そして、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『友ガティーカーラよ、これほどまでなのか?』

『友ジョーティパーラよ、これほどまでなのだ。そのわけは、かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパにお会いすることは、素晴らしいことだと、私は思うからだ。』

『それでは、友ジョーティパーラよ、行こう。行ってみよう。』

 アーナンダよ、そして、ガティーカーラ陶工とブラーフマナ青年ジョーティパーラは、かの世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパがいらっしゃるところを訪れた。進み出て、ガティーカーラ陶工は、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人カッサパに挨拶し、一隅に座った。
 ブラーフマナ青年ジョーティパーラもまた、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパと親しい挨拶の言葉を交わし、一隅に座った。
 アーナンダよ、ガティーカーラ陶工は、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにこう申し上げた。

『尊師よ、これは我が友・我が親友であるブラーフマナ青年ジョーティパーラです。この者のために尊師は法をお説きくださいますように。』

 そのとき、アーナンダよ、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは、ガティーカーラ陶工とジョーティパーラ青年に説法をして、教え示し、励まし、奮い立たせ、喜ばせた。
 すると、アーナンダよ、世尊・アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパによって法話をもって教え示され、励まされ、奮い立たされ、喜ばされたガティーカーラ陶工とブラーフマナ青年ジョーティパーラは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパの説かれた教えに歓喜し、感謝して、座を立って、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパを礼拝し、右遶の礼拝をして、立ち去った。

 それから、アーナンダよ、ジョーティパーラ青年は、ガティーカーラ陶工にこう言った。

『友ガティーカーラよ、君はこの教えを聞いていながら、それでも家から出て家なき生活へと出家しないのか?』

『友ジョーティパーラよ、君も知っているのではないか、目が見えない老いた父母を、私が養っているのを。』

『それでは友ガティーカーラよ、私は在家から家なき生活へと出家することにしよう。』

 そこでアーナンダよ、ガティーカーラ陶工とブラーフマナ青年ジョーティパーラは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパのもとに赴いた。進み出て、ガティーカーラ陶工は、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパに礼拝して、一隅に座った。
 アーナンダよ、ガティーカーラ陶工は、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにこう申し上げた。

『尊師よ、この者が我が我が友・我が親友であるブラーフマナ青年ジョーティパーラです。この者を世尊は出家させてくださいますように。』

 アーナンダよ、ブラーフマナ青年ジョーティパーラはこうして、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパのもとで出家した。完全なる戒律を授かる出家儀式を得た。

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