今この瞬間に
今この瞬間に立ちのぼる正しい悟りを、考え出したり、精巧に作り出したりしてはいけない。
ただそれを、ありのままであらせなさい。
これは、存在・非存在などの言葉では確立されない。
それは空とあらわれを区別せず、虚無主義の特徴も実在主義の特徴もない。
何も存在しないこの境地の中では、見解や瞑想を通した努力は必要ない。
偉大なる原初の解放性は、束縛から解放されることでもない。
それは知性によって考え出されるのではない本性の輝きであり、智慧は概念によってけがされていない。
見解と瞑想によって損なわれない現象の本性は、配置のない均衡であり、瞑想によって得るのではない均衡である。
それは特徴のない明晰さであり、画一性によって失われていない広大さである。
すべての衆生は、一瞬も、彼ら自身に内在する智慧から離れたことはないが、これに気づく事ができないことによって、それは自然に流れる水流が氷として固まったようになる。
根本原因としての内的な愛着の心と、外側の対象物とそれを助ける状況に絡め取られ、衆生は無限に輪廻をさまよう。
今こそ、グルの口答の指示によって、どんな精神的な構造もない今この瞬間の正しい智慧に遭遇しなさい。瞑想もなければ散漫もない、その真なるものの中に安らぎなさい。