要約・ラーマクリシュナの生涯(4)「偉大なる魂の誕生」
4 偉大なる魂の誕生
チャンドラデーヴィーが最初の陣痛を感じたのは、夜が明ける少し前だった。そして産室に行ってほとんどすぐに、彼女は男の子を出産した。赤ちゃんを取り上げたドニがチャンドラデーヴィーの世話をすませて振り向くと、自分が置いた場所に赤ちゃんがいないのに気づいた。驚いたドニがそこら中を探すと、赤子は血と粘膜に覆われたまま地面を転がって竈のくぼみに入り、そこで体中灰だらけになって寝ているのを見つけた。しかもこの時点でも、まだ泣かないでいた。
ドニは赤子を産湯で洗い、灯火の下であらためてその姿を眺めると、その美しさと大きさに驚いた。まるで生後六ヶ月の赤子のように見えた。
ちょうどその頃、クディラムは、いつもの日課としての夜明け前の神への祈りをおこなっており、粗末な小屋に、神聖な法螺貝の音が響き渡った。
それはベンガル歴1242年のパールグン月第六日、西暦でいうと1836年2月18日、日の出の12分前であった。占星術でいうと、「シッディ・ヨーガ」という幸福なアスペクトがあり、またその生まれの宮には太陽と月と水星が集まっていた。土星は黄道の最高点に達し、この子が独特の生涯を送るであろうことを示していた。また木星も、強く縁起の良い影響を及ぼしていた。
後に、有名な占星術家たちも、この生まれの星の配置を見て、
「この子は非常にめでたい星宿のもとにある。この子は間違いなく、徳高く、敬われ、常に善行をおこなうであろう。多くの弟子に囲まれて、彼は寺院に住むであろう。幾世代にもわたってダルマを伝える、新しい組織を設立するであろう。そしてこの子は、ナーラーヤナの化身として生まれた偉大な魂として、広く尊敬されるであろう。」
と言った。これを聞いてクディラムは驚嘆し、ガヤーで見た不思議な夢が本当に実現したことを深く感謝した。
やがて子供の誕生式が行われ、生まれた星の配置にちなんでションブチョンドロと名付けられたが、やがてあの示唆的な夢を記念してガダーダル(ゴダドル)と呼ばれるようになった。