解説「ラーマクリシュナの生涯」第一回(7)
◎巡礼と神の示唆
このようにして、クディラムがカマルプクルに来てから十年ほどたった。ラグヴィールの恩寵によって、クディラムは以前よりもかなり裕福になり、心配事もなく、すべての時を神に捧げることができた。
青年になった息子のラムクマルは、今や仕事に励み、家族の生活維持の責任を引き受けるようになったので、クディラムはあるとき、南インドへの聖地巡礼に徒歩で出発した。この巡礼は、帰宅までに一年を要した。彼はセートゥバンダ・ラーメーシュワルという聖地からヴァーナ・リンガ(シヴァの象徴)を持ち帰り、その後は毎日それを礼拝した。その少し後にチャンドラデーヴィーは、二人目の息子を出産した。クディラムはその子を、その直前に行った巡礼を記念して、ラメシュワルと名付けた。
長男のラムクマルは、聖典の教えに基づいて人々に助言をしたり、宗教的儀式を行なったりすることで、収入を得ていた。彼はそれらの儀式に熟達し、またある種の神秘的な力も持っていた。
さらに時は過ぎ、一八三五年、クディラムが六十歳になった頃、彼は再び聖地巡礼に行きたいという強い衝動を感じ、ヴィシュヌ神の聖地ガヤーに行くことを決めた。
こうして一八三五年の冬、クディラムは徒歩でヴァーラーナシーとガヤーに向かった。ヴァーラーナシーでヴィシュワナータ神を礼拝した後、三月半ばにガヤーに着いた。そこにおよそ一カ月間滞在し、経典に従ってすべての儀式を行ない、最後にガダーダル(ヴィシュヌ神)の蓮華の御足に礼拝を捧げた。
このときクディラムは、かつて経験したことのないほどの神へのへりくだりと愛の感情に満たされた。彼はその日一日中、そして夜になっても、平安と喜びに満たされていた。
そしてその夜、寝入りばなにある夢を見た。彼は自分が聖堂の中で、ガダーダルの神聖な御足の下で礼拝している夢を見た。そこには彼の先祖たちがいた。すると突然、かつて見たこともないような神々しい光が聖堂にあふれた。先祖たちは手を合わせ、恭しい態度で、美しい玉座に座っている神々しい存在を拝んでいた。その神々しい存在は、慈悲に満ちたまなざしでクディラムを見つめつつ、こちらに来るように促した。クディラムはあふれる信仰心で彼の足下にひれ伏して礼拝し、神への賛歌を歌った。その神々しい存在は大変喜び、美しい声でこう言った。
「クディラムよ。おまえの深い信仰心を、わたしは非常にうれしく思う。わたしはおまえを祝福し、おまえの息子として生まれ、その愛に満ちた世話を受けるであろう。」
このような言葉を聞いたクディラムは大変喜んだが、次の瞬間、自分のような貧しい存在には、このような尊いお方の食事や住まいを用意するのは無理であるという思いが浮かび、悲しんだ。しかしその神々しい存在は、慈悲深くこう言った。
「クディラムよ、心配するな。わたしは、おまえがくれる物は何でもおいしく食べるぞ。わたしの望みを聞き入れるがよい。」
クディラムは、「いいえ」と言う勇気がなく、喜びと悲しみが入り混じった感情に激しく襲われて失神した。そして目が覚めてからもクディラムは、あまりに夢がリアルだったので、自分が今どこにいるのか、しばらくはわからなかった。
次第に通常の意識を取り戻すと、クディラムは、この不思議な夢の内容を詳しく思い返し、神の示された夢は必ず実現するから、偉大な魂が遠からず自分の家に生まれるに違いないと確信した。しかし彼は、この夢が実現するまでは誰にもこのことを話すまいと決心した。そして数日後、クディラムはガヤーに別れを告げ、カマルプクルへと帰った。
はい。クディラムの長男、つまりラーマクリシュナの長兄であるラムクマルっていう人は、まあ非常に優秀な人だったらしいですね。ですから、この人も働くことによって、生活維持の責任を引き受けてくれたと。昔に比べたらでしょうけど、前よりは裕福になってきたと。で、その長男が家計を支えてくれるので、クディラムは念願の聖地巡礼に行くようになったわけですね。
で、その中でヴァーラーナシー、そしてガヤー――ガヤーっていうのは、まあ今ガヤーって、ブッタガヤー、お釈迦様が悟りを開いたブッタガヤーのある場所として有名ですけども、もともとはいわゆるヴィシュヌ神の聖地なわけですね。で、そこに行って儀式を行ない、そしてヴィシュヌ神――ガダーダルの蓮華の御足に礼拝を捧げたと。で、かつて経験したことのないほどの神へのへりくだりと愛の感情に満たされ、その日一日中平安と喜びに満たされたと。
そしてその夜、夢を見ましたと。その夢の中で、ガダーダル――つまりヴィシュヌ神ね――に自分は礼拝していて、で、見たことのないような神々しい光が現われ、玉座に座ってる神々しい存在が現われたと。その神々しい存在が、「クディラムよ。おまえの深い信仰心を、わたしは非常にうれしく思う」と。「わたしはおまえを祝福し、おまえの息子として生まれ、その愛に満ちた世話を受けるであろう」っていう素晴らしいことを言ってくれたわけだね。で、クディラムももちろんそれを喜んだんだけども、さっきのサラグラームのときと同じで、でも自分はまだ、前よりはちょっと裕福になったとはいえ、非常に貧しいと。至高者がお生まれになっても、そのような御方にふさわしい食事や住まいを用意するのは無理であると。そう思ったわけですね。しかしその神々しい存在は、「心配するな」と。「わたしは、おまえがくれる物は何でもおいしく食べるぞ」と。「わたしの望みを聞き入れるがよい」って言ったわけだね。で、クディラムはそれに対して「いいえ」と言う勇気がなく、「喜びと悲しみが入り混じった感情に激しく襲われて失神した」と。「目が覚めてからもクディラムは、あまりに夢がリアルだったので、自分が今どこにいるのか、しばらくはわからなかった」と。
はい。このような夢を見て、それがあまりにリアルだったので、おそらく本当に何か偉大な存在が遠からず自分の息子として生まれるに違いないと確信したんだけども、それは実現するまで誰にもこれは話すまいと決心して、カマルクプルに帰りましたと。
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