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過去の母、未来の仏陀

 彼は過去世において繰り返し、私に愛を注いでくれた。
 彼も彼も、あの彼も、全ての衆生は、私の母であり、恩人であり、師であった。
 その恩を、いかに返そうか。
 その愛に、いかに報いようか。
 その恩と愛を、忘れることができようか。
 たとえ彼らがたまたま今生、敵として現われていたとしても。

 だから私は、衆生のために、衆生の幸福のために生きなければならない。
 この膨大なる恩を、一生をかけて返さなければならない。
 彼らの幸福のためにできる、最高のことをやらなければならない。

 
 ところで、もし我々がタイムマシンに乗って、過去世のお釈迦様に会いに行ったら、どうだろうか。
 お釈迦様も、ある時期から修行を始め、何度も生まれ変わって修行を続け、自己を浄化し、仏陀の境地に至った。つまりお釈迦様も、その昔、まだ汚れを持った、普通の人だったこともあるのだ。
 もしそのころのお釈迦様に、我々が会うことができたら、我々はどういう気持ちで接するだろうか。
 当然、最大の敬意を払うだろう。その人は今はまだ汚れ多き普通の人だが、後に偉大なる仏陀、お釈迦様となる人なのだから。
 ところで、全ての衆生も実は、同じ道の途上にある。
 全ての衆生は、今は汚れた心で輪廻の中で苦しんでいるが、後に修行の道に入り、仏陀となっていくだろう。
 つまり、我々の周りには、「仏陀の過去世」の人がたくさんいるのだ!
 よって最大限の敬意を払うべきなのだ。

 このように、我々の過去に眼を向けると、全ての衆生は、最大の恩人である。
 未来に眼を向けると、全ての衆生は、尊敬すべき仏陀の過去世であり、最大の敬意を払わなければならない。

 その最大の恩人であり、尊敬すべき衆生が、今、迷妄に覆われ、輪廻の中でもがき苦しんでいる!
 もし私が修行者ならば、早く自らが悟りを得て、彼らに法を与え、輪廻から救いたい。
 もし私の心が安らかならば、彼らに安らぎを与え、彼らの苦悩を引き受けたい。
 もし私がわずかでも豊かならば、その全てを彼らにささげたい。

 願わくば、今生の小さな世界の一時的なつまらぬ人間関係に惑わされずに、全ての衆生がお互いを、愛と感謝と尊敬をもって見ることができますように。

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