解説「人々のためのドーハー」第一回(2)
【本文】
人々のためのドーハー
ブラーフミンたちは真理を知ることなく
四つのヴェーダを虚しく暗唱する。
彼らは、水やクシャ草などの準備を整え、
家の中に座って火を燃やし、
無意味な儀式を執り行い、
刺激的な麻薬を吸って、意識を混沌とさせる。
はい。まずね、ヒンドゥー教批判から始まってますね。ブラーフミンっていうのはヒンドゥー教の祭司のことですね。これはもうほんとにヒンドゥー教の人とか、あるいは、そうですね、古典的なヨーガとか学んでる人は怒りだしちゃうかもしれないね、これね。「四つのヴェーダを虚しく暗唱する」と。ね(笑)。つまり四ヴェーダなんて暗唱しても意味ねえぞと言ってるわけですね。
はい、そして「水やクシャ草などの」――まあ、この辺はだからヒンドゥー教のいろんな儀式ね。で、ここで出てくる「刺激的な麻薬を吸って、意識を混沌とさせる。」――これはね、インドに行ったことある人は分かるかもしれないけど、だいたいあっちのサードゥとか、あるいはヒンドゥー教のあるタイプの修行者は、よくマリファナを使うわけですね。それはまあ、いつも言うように、わたしは個人的にはあんまりいいことだとは思わない、マリファナはね。ちょっと無智になってしまうので。確かにね、欧米で流行ったLSDとかもそうだけど、ある種の薬物っていうのは、ある種の深い瞑想の疑似体験みたいなのをさせてくれるものもあるわけですね。でもそれはまあ、ほんとの瞑想じゃないんで、多くのデメリットも伴う。つまりちょっと変なイメージとか、変な心の世界も増大してしまうし、あるいは無智も増大してしまう。
わたしも、インドとか日本で出会った修行者で、やっぱりそういうタイプの修行者もいるわけですね。マリファナとかばっかりやって、なんか喜んでるっていうかな。でもやっぱりそういう人を見ると、無智ですね、かなりね。決していいもんじゃないと思うね。薬物全般がいいもんじゃないけど、マリファナは特にちょっと無智にする系ですね。
はい。ただ、それによってね、ちょっと深い意識に入ったような感じがして、それが神との合一とか神秘体験と言ってる人たちも結構います。でもそれはまあ、批判の対象になるわけだね。
大昔、もっともっと昔は、インドにおいてソーマといわれる、神のお酒といわれるのがあったっていわれるんだね。で、まあ、それがなくなったんで、現代ではマリファナとかを使うようになったっていう説もあるんだけど。だからちょっと劣化してるんだね。もちろんわれわれにとって最も最高なのは、甘露を早く落とすことです。甘露っていうのは、まあ、われわれの内的な分泌液だけどね。われわれが修行することによって生じる甘露ね。これでわれわれはほんとに神に酔ったような状態になる。これが最高なんだね。
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