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要約・ラーマクリシュナの生涯(22)「アクシャイとモトゥルの死」①

22 アクシャイとモトゥルの死

◎アクシャイとその死

 ラーマクリシュナの長兄であったラムクマルには、アクシャイという美しい息子がいた。出産のときに彼の母親が亡くなったこともあり、彼は親族たちから特別にかわいがられて育った。ラーマクリシュナも、故郷を去る前の二、三年間、よくアクシャイを膝の上に乗せてかわいがり、世話をした。しかし彼の父親のラムクマルだけは、なぜか彼をかわいがっていなかった。なぜかと尋ねられると、ラムクマルはこう言った。

「この子は長くは生きないだろうから、愛しても甲斐がない。」

 やがてラーマクリシュナは故郷を出て、ドッキネッショルのカーリー寺院で神の道に没頭するようになった。そして一八六五年、トータープリーがドッキネッショルにやってきて間もない頃、アクシャイもドッキネッショルに来て、ヴィシュヌ聖堂の神職を受け持つこととなった。当時彼は17歳くらいだった。

 ラーマクリシュナも、また他のアクシャイを見たことがある人たちも、アクシャイは非常に美しい青年であると言っていた。彼の顔立ちは優雅であると同時に輝くようであり、まるで生きたシヴァのように見えたという。

 アクシャイは子供の頃からラーマに深く帰依していた。家の神ラグヴィール(ラーマ)への奉仕に、毎日長い時間をかけていた。だから彼にとっては、与えられたヴィシュヌ聖堂の祭祀という仕事は、大変大好きな仕事だったのである。
 アクシャイは日々の祭祀の間、実に深い瞑想に入り、聖堂を出たり入ったりする群衆のことなどは全く意識せず、いつも、通常の意識を取り戻すのに一、二時間かかった。そしてその後、今度はパンチャヴァティーに行き、長いことシヴァを礼拝した。それから自分で自分の食事を調理し、食事が終わると『バーガヴァタ』の勉強にとりかかるのだった。
 また、神への愛に駆られて、放棄の修行や、プラーナーヤーマなども激しく実践したために、たびたび喉や口蓋が腫れたり出血したりした。
 このような神への深い愛と信仰を持つアクシャイを、ラーマクリシュナは深く愛していた。

 月日は流れ、一八六九年頃、アクシャイのこのような傾向を知った叔父のラメシュワルは、それをよくないと考え、彼の心を現世に引き戻すために、花嫁を捜してきた。そして結婚式のためにアクシャイを故郷に連れ帰るために、ラメシュワルがドッキネッショルにやってきた。しかしその時期はチャイットラ月であり、チャイットラ月に旅立つのは縁起が良くないと言って人々は止めたが、ラメシュワルもアクシャイも、出先から家に帰るのだから問題ないと言ってそのまま故郷に帰り、間もなく結婚式が挙げられた。

 その数ヶ月後、アクシャイは重病にかかった。故郷でしばらく療養した後、ドッキネッショルにやってくると、アクシャイの様子は明るくなり、健康も回復したように見えた。しかしある日突然、再び発熱した。

 ラーマクリシュナは、アクシャイが結婚後間もなく病にかかったことを効くと、こう言った。

「フリドウよ、これはたいそう良くない前兆だ。彼はラークシャサ・ガナの花嫁をめとったのだ。あの子は死ぬだろう。」

(※人はその性質によって、デーヴァ・ガナ(神的)、ナーラー・ガナ(人間的)、ラークシャサ・ガナ(魔的)の三種類に分けられ、ラークシャサ・ガナの女性がナーラー・ナガの男性に嫁ぐと、結婚後間もなく未亡人になるといわれる。)

 ドッキネッショルでアクシャイが発熱したとき、医者たちは最初、すぐに治るだろうという診断をくだした。しかし三、四日経っても熱は下がらなかった。ラーマクリシュナは言った。

「フリドウ、医者たちにはこの病気がよくわからないのだよ。これは容易には下がらない、やっかいな熱病だ。良い医者を呼んで、十分な手当をしてあげておくれ。しかし間違いなく、彼は助かるまい。」

 これを聞くとフリドエは驚いてラーマクリシュナに言った。

「おじさん、そんなことを言うものじゃありませんよ。そんなことは決して口にしないでください!」

 するとラーマクリシュナはこう答えた。

「私が自発的にこう言っていると思うのかね? 私は神に促されて思わずものを言うのだよ。<母>が知らせて言わせる事を私は言うのだ。私がアクシャイを死なせたいなどと思うか?」

 その後、フリドエは良い医者を招いて様々な手を尽くしたが、アクシャイの病は重くなるばかりだった。そしていよいよ最期というとき、ラーマクリシュナはアクシャイの枕元に行き、こう言った。

「アクシャイ、『ガンガー、ナーラーヤナ、オーム・ラーマ』と唱えなさい。」

 アクシャイはこのマントラを三度繰り返して、亡くなった。そのときフリドエは泣いたが、フリドエが泣けば泣くほど、ラーマクリシュナは法悦状態の中で笑った。

 ラーマクリシュナは、法悦境にある間はこのような様子だったが、通常の意識に降りてくると、愛していたかわいい甥の死に、深い寂しさを感じた。そしてその後ラーマクリシュナは、アクシャイが息を引き取った場所では二度と寝泊まりをすることができなかったという。

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