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至高者の祝福(17)「肉体や家族などへの執着による、魂の堕落について」

第二章 第12話 肉体や家族などへの執着による、魂の堕落について

 主カピラは続けました。

「魂が幸福を求めて苦心して集めたものを、カーラ(時)はすべて破壊してしまい魂は嘆き苦しむのです。
 愚かな衆生は、自分が持つ家や土地や財産、さらには妻や子供などを、永遠の所有物だと考えてしまいます。
 主のマーヤーに惑わされた魂は、地獄に生まれ変わったとしても、自分の肉体を放棄しようとせず、快楽を求め続けるのです。
 自分の肉体や、妻、子供、家、家畜、財産、親族などに強く執着しながら、自分は全く幸福な人間だと思っているのです。
 邪悪な心を持つ愚か者は、何とかそれらを維持しようと、絶えず不安に駆られながら、絶え間なく罪を犯し続けるでしょう。
 淫乱な異性に心も感覚も骨抜きにされ、その場限りの優しい言葉に心を奪われた人は、困難と邪悪な行為に関係する、いらぬ義務だらけの家庭生活に執着し続けます。そして躊躇もせずに邪悪な義務を遂行します。そしてたまたま不幸に見舞われないことを、彼らは幸福だと考えるのです。
 周りに多大な迷惑をかけて得たお金を、彼は自分の快楽と、家族の養育のために使い、やがては身の破滅へと突き進んでいくのです。
 自分の仕事が失敗するや、また再び始め、さらに失敗を繰り返すと、ついには忍耐を失い、他人の財産をうらやみ、貪欲さはさらに増していくでしょう。
 悪運にて努力が無に帰するや、彼はもはや一文無しとなり、自分の家族を養うこともできなくなるでしょう。困り果てて頭を抱え、見るも悲惨な苦境に落ちて、心配によってため息をつくばかりとなるのです。

 年老いた雄牛は用なしとされるように、家長が自分たちを養う能力を失ったと見るや、彼の妻や家族は、もはや以前のようには彼を尊敬しなくなります。
 彼は老齢のために腰は曲がり、病に倒れ、食欲も活動力も減退し、寝たきりとなり、ただ死を待つばかりとなり、自分の妻や子供たちから軽蔑され、犬のように食事を与えられて生きていくのです。
 死が近づくや、彼の眼球は飛び出し、気管は痰で閉塞し、咳と荒い呼吸で身体は衰弱していき、断末魔の声を振り絞って、ついに彼は息絶えるのです。
 
 家族を養うことや快楽を満たすことだけを考えて、自分の心や感官を制御しようと努力しなかった者は、親族の泣き喚く中で意識不明にされ、苦しみのあまり分別も働かないまま死んでいくのです。
 そのとき、二人の恐ろしい死神の使いが、怒りに燃える目をして、死者が到着するのを待っています。それを見て彼は、恐ろしさのあまり、糞尿を垂れ流すでしょう。
 彼の魂は、地獄の苦しみを受けるための特別な身体に移され、首には縄をかけられて、地獄へいたる長い道のりを引きずられていくのです。
 死神の死者たちの脅し文句に心は引き裂かれ、道の途中では犬にまで咬まれて、自分のなした罪について考えるや、彼は非常な不安に震え始めるでしょう。
 空腹と喉の渇きにさいなまれ、上からは太陽が照りつけ、燃える森からは熱風が吹きつけて、鞭で背中を叩かれ、日陰もなく、水も飲めずに、熱砂に足を焼かれつつ、彼は地獄へと引きずられていくのです。
 積み上げられた薪の上に座らされて、そこに火をつけられ、さらに自分の肉体を自分自身で、または他の者に切り取られて、それを自分で食べる羽目となるでしょう。
 地獄の犬やハゲワシに内臓を引きずり出され、それでもまだ彼は死ぬことなく、さらに蛇やさそり、ハエなどが、彼の身体を咬み、刺しまわるでしょう。
 手足は一本ずつ引き抜かれて、象たちに身体を踏みにじられ、また高い山の上から落とされたり、水の中に沈められたりもするでしょう。
 
 先に述べたように、自分の肉体や家族などに執着し、ただそれらを肥やすために生きてきた人々は、その家族も肉体もこの世に置いて、自分のなした行為の結果を、ただ一人地獄で、このようにして刈り取られるのです。
 悪業を積んで養った肉体を脱ぎ捨て、彼は罪の詰まった袋を頭に乗せて、ただ一人、暗い地獄の世界へと引きずられていくのです。
 そして生前犯した罪を、その地獄の世界で永い間にわたって刈り取られた後、幸運な者は何とか地獄から抜け出して、犬や豚などの動物の生涯を何生も送り、そこでカルマが浄化された者のみが、ようやく人間として再び生まれてくるのです。」

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