聖者の生涯「スレンドラナート・ミトラ」(2)
スレンドラは最初の謁見から、ラーマクリシュナに自分を極端に捧げ始めたのでした。そして毎週日曜日のほとんどは、師がおられるドッキネッショルに通うようになりました。
彼の友人は、彼の劇的な変化と神への愛を見たときは、大変驚きました。しかしそれは、スレンドラの過去からの悪い習慣が変わったという訳ではありませんでした。
彼はそのときはまだ、評判の悪い場所に頻繁に出入りすることをやめられずにいました。スレンドラ自身、ときには仕事が忙しいふりをして師と距離を置いてしまうほど、わが身を浅ましく思っていたのでした。
しかし、あるとき誰かがスレンドラの悪い行いを師に報告したとき、ラーマクリシュナは特に驚きも心配もせずに、こうおっしゃいました。
「そうか! スレンドラにはまだたくさん現世的な欲望があるだろう。しばらくは楽しむがいいよ。でも彼はそのうちすぐに清らかになるだろう。」
スレンドラは、師が彼についておっしゃったことを伝え聞き、次の日曜にドッキネッショルにやってきました。
彼は師の前に座ることは少し気まずかったので、部屋の端に席をとりました。
すると、ラーマクリシュナが愛情深い声でおっしゃいました。
「なぜ私の近くに座らないのだね?」
スレンドラは師に従い、近くに座り直しました。
そのとき師は神意識に入られて、こうおっしゃいました。
「人が悪い場所に出入りをする時、なぜ彼は母なる神のことをうとましいと思うのか?
それは彼女が彼の悪い行為を邪魔するであろうからなのだよ。」
おそらくスレンドラだけが、この場において師が述べられたことを理解できたただ一人の人間でした。 彼の良心はハチにさされたように激痛が走りました。
師は続けられました。
「男らしさは、誰にとっても必要だ。」
このとき、スレンドラは心の中で祈りました。
「これは私の病気なのです。神よ、私をここから救いたまえ!」
すると師は突然、彼を見てこうおっしゃいました。
「私は低俗な人間のように、現世的な喜びに奮闘せよとは言っていない。それは低級な動物がなすことだ。私は、アルジュナのような偉大な男らしさのことを言っているのだ。
――それは、生涯最後の呼吸のときにおいても、決して理想からずれないということなのだ。」
スレンドラは、師が皆に自分の悪事を暴露するのではないかと恐れました。しかし師はそんなことはせず、それ以上は何もおっしゃいませんでした。
この出来事と師の言葉は、この後、スレンドラが念正智して悪習に対峙するための助けとなる大いなるアドバイスとなりました。
-
前の記事
「スレンドラナート・ミトラ」(1) -
次の記事
聖者の生涯「スレンドラナート・ミトラ」(3)