悪魔
仏教の教義によると、我々が住むこの宇宙は欲界(カーマ・ローカ)といい、文字通り欲望中心の世界です。そしてここに、六道輪廻と呼ばれる区分けされた世界があります。
ここでいう六道とは、地獄界・動物界・餓鬼界・人間界・阿修羅界・神々の六つの世界です。我々はまず欲望から抜け出さない限り、この六つの世界を輪廻し続けます。ここでいう神々というのも、単に徳によって一時的に幸福を得ているだけの存在なので、絶対神とは違います。いずれは彼らも死に、また低い世界へ落ちていきます。
この欲界に我々を縛り付けている欲望の要素とは、具体的にざっとあげると、愛欲、憎しみ、自分の肉体こそ自分の本質だと思う心、間違った信仰へのとらわれ、食欲、貪り、性欲、批判心、名声欲、真理への疑い、本能的欲望に流される心、嫌悪、愛着、情、怠惰、不安、不満、嫉妬、無智、怒り・・・と、このようなものです。
そして一応この欲界の最高位は神々の世界なのですが、この神々の世界にも階層構造があり、その中で一番トップに君臨する神が、実はマーラ、すなわち平たく言うと「悪魔」なのです。
つまり我々のいる宇宙は悪魔によって支配せられ、そしてこの欲界からの解脱とは、すなわち悪魔の支配からの解脱ということになるのです。そしてこの悪魔が我々を支配する武器として使っているのが、上記にあげたさまざまな欲望なのです。だから「欲界」なのです。解脱を目指すものは、まずはこれらの欲望に打ち勝って、悪魔の支配から脱し、欲界から解脱しなければなりません。欲界を抜けても、色界、無色界という世界があり、この三つの世界からの解脱が、完全な解脱です。
・・・さて、このような話を以前に私のヨーガ教室の生徒にしたところ、その生徒が自分のお母さんにその話をしたらしいのですが、するとそのお母さんは、このように言ったそうです。
「じゃあ、この世で常識とされていたり、正しいと認められることの多くは、実はきっと、悪魔の意に沿うことなんだろうね。」
なかなか智慧のあるお母さんですね(笑)。
おっと、この辺にしておきましょう。悪魔が見ているとまずいから(笑)。
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