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寝方

 仏教では、人の寝方についてこんなことをいいます。

1.右脇を下にして寝る・・・獅子の寝方(修行者の寝方)
2.仰向けに寝る・・・神の寝方
3.左脇を下にして寝る・・・欲望に溺れる者の寝方
4.うつ伏せに寝る・・・霊の寝方

 これらとは別に、如来の寝方とは深い瞑想である、ともいいます。これはつまり、如来にとって通常の睡眠はなく、寝ているように見えてもすべては瞑想状態ということでしょう。
 ちなみにお釈迦様は、右脇を下にした獅子の寝方で横になったまま、この世を去ったといわれています。

 また、「頭陀の修行」をやる場合は、修行者は横になりません。寝るときも座った状態で寝ます。私も以前、一年間くらい、横にならなかったことがありました。

 さて、ところで、なぜこのようにいわれるのか、簡単に分析してみましょう。
 仰向けに寝るというのはヨーガのシャヴァ・アーサナという休息の体位でも採用されているように、最も自然にリラックスできる寝方といっていいでしょう。ですからそれが「神の寝方」と表現されても、あながち不思議ではありません。

 次に、横向きに寝る寝方について。右を下にするのが修行者で、左を下にすると欲望に溺れるというのはどういうことでしょうか?
 胃等の内臓の形を見ても、確かに右側を下にして寝たほうが自然な感じがします。しかしそれだけではありません。
 人体には無数の気道(気の通り道)が流れますが、それらは大別して、左右の気道に分けられます。 
 左の気道は副交感神経と関係し、無智の気道といわれます。右の気道は交感神経と関係し、怒りの気道といわれます。
 我々が左側を下にして寝ると、重力の関係で、左の気道に気が集中しやすくなります。そもそも睡眠というのは無智の状態に陥りやすいわけですが、その無智の要素がより強くなるといえます。それによって欲望が増大してしまうということなのかもしれませんね。おそらくそれにより、睡眠時間も増すでしょう。睡眠時間が長いと、魔に付け込まれるともいわれます。
 逆に右側を下にして寝ると、交感神経の怒りの気道に気が集中しやすくなります。怒りの気道というと聞こえが悪いですが、我々の心身を活発化させる気道ということですね。
 本来、無智に偏りやすい睡眠のときに、あえて右の気道に気を流すことで、無智に陥り過ぎないように、バランスをとっているのかもしれません。これによってある程度鮮明な意識のまま眠りにつけますし、また、睡眠時間も長くならないでしょう。
 ただし、現代人のように、自律神経のバランスが崩れている場合、右の気道に気を集中すると、交感神経が興奮しすぎて、眠れなくなってしまうかもしれません。だからといって左を下にするのではなく、その場合は、シャヴァ・アーサナのような仰向けの寝方を採用するのが良いでしょう。

 さて、最後に、うつぶせは霊の寝方とされていますが、ここでいう霊とは、低い場合は餓鬼、高い場合は鬼神のことです。
 餓鬼とはよくお腹が突き出た化け物みたいに描かれますが、まあたしかにそうなのですが、正確にはプレータといって、貪りの心で苦しむ低い霊のことです。
 鬼神とは、一応は神なのですが、低いレベルの神です。霊的な存在で、やはり貪りが強いといわれます。
 あなたにはこんな霊がついてますよとか言う霊能者とか、あるいは幽霊がよく見える人などは、これらの霊の世界とつながっているといえます。
 さて、うつぶせに寝ることでなぜこれらの霊の世界とつながってしまうのでしょうか。はっきりとした根拠はわかりませんが、私の予想では、うつぶせに寝ることで、お腹のマニプーラ・チャクラに気が集中してしまうからではないかと思います。このチャクラは、餓鬼の世界や、霊の世界とつながっているのです。
 同様に、食べてすぐ寝ることも、よくありません。食事によってお腹のチャクラに気が集中しているので、そのまま寝ると、餓鬼の世界に意識が引っ張り込まれやすくなります。

 ということで、最後はまとめてみましょう。

・最も良い寝方・・・右側を下にする。
・よく眠れない人の場合・・・仰向けに寝る。

・悪い寝方・・・左側を下にする(無智になり、欲望が増大する)
        うつぶせに寝る(霊の世界とつながりやすい)

・その他・・・睡眠中であろうと、意識を鮮明な、瞑想に近い状態に保つ努力をすると良い。そのためには日ごろから瞑想に熟達する必要がある。
       また、厳しい「頭陀の修行」としては、横にならずに座って寝る方法もある。

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