仏教修行者の基礎(6)「戒律をけがし破る九つの原因」
◎戒律を汚し破る九つの原因
次の九つの原因によって、戒律はけがされ、破られる。
①極度な怠惰
②極度にけがれた心
③過去の悪業を懺悔しないこと
④他者から尊敬されることや、一時的なメリットを望んで戒律を守ること
⑤例えば「善の加行」などを実践する際に、修行の本質を理解できず、極端なやり方によって、かえって自分や他人を害してしまうこと
⑥極度に欲望が強く、自然に与えられたもので満足しないこと
⑦布施などを受けたいために、自分の徳や素晴らしさを見せびらかすこと
⑧二つの極端に陥ること
たとえばある者が、愛欲の喜びにふけり、耽溺し、愛欲のデメリットを見ず、愛欲からの解放を知らない。
またある者は、例えば針の上に座ったり、熱い火の前に座ったり、片足で立ち続けたりといった、意味のない苦行にふける。
これらが「二つの極端」である。
⑨正しくない宗教の戒律を守ること
◎戒律を円満清浄にする九つの原因
これとは逆の九つの原因によって、戒律は円満となり、清浄となる。
①激しい精進
②心の浄化に励むこと
③過去の悪業を懺悔すること
④他者から尊敬されることや一時的なメリットではなく、自己と他者の究極のメリット(解脱)を目指して戒律を守ること
⑤「善の加行」などを実践するときに、その本質を理解して、自分や他人に本当に利益が生じる方法で行なうこと
⑥常に自然に与えられたもので満足すること
⑦自分の徳などをわざとらしく見せびらかさないこと。隠徳に励むこと
⑧「二つの極端」に陥らず、正しい神聖な修行に励むこと
⑨正しくない宗教の戒律や教えにかかわらないこと
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