パドマサンバヴァの秘密の教え(16)「帰依の八つの良い特質」
◎帰依の八つの良い特質
ツォギャルは師にこう尋ねた。
「帰依によって、どのような良い特質が生じるのでしょうか?」
師はこうお答えになった
「帰依には、次の八つの良い特質がある。
1.仏教徒となる。
三宝に帰依することで、仏教徒と呼ばれる。
2.解脱などのようなすべての誓いにふさわしい器になる。
逆に、帰依の誓いを失えば、その上に基づいた誓いもすべて破壊されると言われている。
さらに、一日だけの戒律から、秘密真言の誓いに至るまで、あらゆる誓いの前に、帰依をする必要がある。
したがって帰依は、あらゆる種類の誓いにふさわしい土台をもたらすものとして知られている。
3.三宝への帰依の誓いは、過去生から蓄積されてきたカルマの闇を減少させ、終わらせる。
一般的な帰依によってカルマの闇が減少し、特別な帰依によってカルマの闇は完全に尽きるであろう。
また、帰依の純粋な思いがあなたの中に生じたとき、カルマの闇は徐々に現象化していき、後には完全に終わる。
また、歩いているときも、立っているときも、横になっているときも、座っているときも、いつでも帰依の思いを持ち続けるならば、カルマの闇は完全に尽きるだろう。
4.膨大な功徳を有する。
長生き、健康、壮麗で威厳のある品格、大いなる富などという現世的な功徳は、帰依に起因する。
そして俗世間を超越した無上の悟りも、同様に帰依に起因する。
5.帰依によってあなたは、人間および人間以外の存在による攻撃の影響を受けず、この人生の障害の影響を受けなくなるだろう。
あなたの中に純粋な帰依が生じるや否や、ナーガや悪霊のような人間以外の存在によっても傷つけられることはない。
6.帰依によってあなたは、あなたの望むものすべての成就を得るだろう。
あなたの中に純粋な帰依が生じたとき、意志するものすべては達成され、あなたは望むものすべてを受け取るだろう。
7、帰依によってあなたは、悪趣、有害な運命、あるいは邪悪な道に落ちないであろう。
『悪趣』とは、地獄・餓鬼・動物の世界を指す。
『有害な運命』とは、野蛮な種族のような、真理のない場所に転生することを指す。
『邪悪な道』とは、誤った宗教や修行のことを指す。
8.帰依は最終的に、速やかに完全なる真の悟りに導く。
帰依によって、この一つの身体と人生の中で悟りに到達することができることが、秘密真言の大乗の教えの中で述べられている。
これは、疑念がないならば、速やかに悟りに到達するだろうということを意味する。
したがって、時々帰依するだけで十分であると考える誤謬を断ち切ることが必要なのである。
昼夜絶え間なく、何度も何度も帰依の思いを呼び起こすべきである。
それによって、確実に速やかに、完全なる真の悟りに到達するであろう。
帰依に努めるならば、多くの教えを実践する必要はない。
純粋な帰依によって、悟りに到達することは疑いない。」