パトゥル・リンポチェの生涯と教え(35)
◎すべての衆生を鼓舞するパトゥルの教え
パトゥルが入菩提行論を説く所では、悪霊は悪事をやめる気になり、菩薩の道を歩むようになるのだという。
あるとき、ダコクの人々は、悪霊に憑りつかれた二人の精神異常者が、お互いを見合って、愛情深く挨拶し合っているということに気づいた。
ある人がこう尋ねた。
「何がそんなに幸せなのですか?」
一人目の精神異常者は答えた。
「ダチュカの上部にあるパルマでは、昔はよく悪霊がはびこっていた。至るところ、悪霊だらけだった。小石にまで悪霊がいたんだよ! でも、パトゥル・リンポチェはそこに来て、入菩提行論を説いてくれたんだ。神々、悪魔、霊、精神異常者――あらゆる存在が彼の教えを聞きにやってきたんだ! そこでわれわれ二人は出会ったのさ! それが、われわれが互いに良き友を得た経緯だ!」