パトゥル・リンポチェの生涯と教え(22)
◎ニョシュル・ルントクの帰依
パトゥルはあるとき、”心の弟子”であるニョシュル・ルントクにこう尋ねた。
「お前はどのラマに祈りを捧げるのだい?」
「私は誰をも、長い間心の中に念じていることができないのです。」
「そんなことはないんじゃないか? じゃあ、集中できているときには、誰に向かって祈る?」
「あなたです。」
「私か? なんで、いろんな人がいるのに私なんだ? チベットにはごまんとラマがいるじゃないか!」
「一瞬でも肯定的な思考が持てると、私は、それはあなたとあなたの教えのお陰だと思うのです。私は心に、あなたの尽きることなき慈愛を思い続けています。」
「そうかい。お前がそう理解しているなら、それを続けてよろしい。」
パトゥルは深みをもった声で、こう付け加えた。
「私の心の連続体には、もはや否定的な感情はほとんど生じなくなった!」
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