バララーム・ボースの生涯(1)
バララーム・ボースの生涯
シュリ―・ラーマクリシュナは大抵、信者や弟子たちを、彼らが彼のもとへと来る前から、ヴィジョンや恍惚境の中で見ていました。
ある日、彼は、チャイタニヤがその弟子たちとパンチャヴァティのバンヤンの樹とバクルの樹の間で歌い、踊っているヴィジョンを見ました。初対面とき、師はバララーム・ボースを見るとすぐに、まるで前々から家族であったかのように、愛を込めて彼を受け入れました。彼は後にこう言いました。
「彼(バララーム)はチャイタニヤの内輪の弟子だったのだよ。彼はこれ(ラーマクリシュナ)に属している。私は恍惚境の中で、チャイタニヤが主な弟子たち、アドワイタとニティヤーナンダと共にその地方に神聖なる愛の流れをもたらし、彼らの魅惑的なキールタンを通じて、その大衆たちに神秘の閃きを与えたのだ。その一行の中に、私は彼(バララーム)を見たのだよ。」
バララームは1842年の12月に、北カルカッタの裕福なヴィシュヌ派の家系に生まれました。彼の祖父グルプラサード・ボースは、自らの家の中にラーダー・シャーム寺院を設立しました。それが理由で、町のその区域はシャームバザールとして知られるようになりました。
彼はまた同様に、十万ルピーを費やして、ヴリンダーヴァンのヤムナーの岸にシャーマ・スンダラ寺院を建てました。それは、「カーラ・バーブのクンジャ(林)」と呼ばれました。
バララームの父ラーダーモハンと叔父のビンドゥマーダヴァは共にオリッサのバレーシュワル地区の巨大な団地を購入し、その経営のためにコタルに事務所を設立しました。
ビンドゥマーダヴァには三人の息子がいました。――ニマイチャランは団地を管理し、ハリヴァッラブはクッタックで弁護士をし、アチュターナンダは彼らのカルカッタの家に住んでいました。
ラーダーモハンにも同様にジャガンナート、バララーム、サドゥプラサードの三人の息子と、ヴィシュヌプリヤ、ヘマラタの二人の娘がいました。
ラーダーモハンは彼の兄弟と甥にオリッサでの彼らの共有の団地の経営を任せ、自分は主にヴリンダーヴァンで暮らしていました。その人里離れた聖地で、彼は聖なる修行を実践しながら、寺院の経営をしていました。家系の慣習に従って、彼は寺院の前の中庭に立ちながらマントラを唱え、そこで瞑想していたのです。他の時間は信仰の聖典を学び、クリシュナの信者への食の施しの準備をしていました。
バララームはこの父親から、信仰の本質と世俗に対しての無関心さを学び取っていきました。ラーダーモハンのように、バララームは毎朝数時間をジャパと瞑想に費やしていました。そして同様に、彼のいとこに団地の経営を任せ、そして自分は彼らから毎月与えられる分け前で満足していました。
そして後にバララームは、バブラーム(後のスワミ・プレーマーナンダ)の姉妹のクリシュナバーヴィニーと結婚し、二人の娘と一人の息子を授かったのでした。
バララームは消化不良のために大変苦しみ、十二年の間、ミルクとお粥で暮らしていました。健康を取り戻すために、この時期のほとんどはベンガル湾の沿岸に面しているジャガンナートの聖地プリーに住んでいたのです。
そこで彼は、多くのヴィシュヌ派のサードゥと知り合い、霊性の生活への興味を以前以上にかき立てられたのでした。
彼の父といとこは、バララームが家族を放棄し、出家するのではないかと心配し始めました。バララームが長女の結婚式に出席するためにカルカッタに来たとき、彼のいとこは、そこで暮らすように彼に勧めました。彼をさらに説得しようと、ハリヴァッラブは、ラームカンタ通り57番に家を買って、彼に提供さえしましたが、バララームはそれを受け入れたくありませんでした。カルカッタに住んだら、主ジャガンナートを毎日訪れることも、聖者たちとの交わりを持つこともできなくなるからです。
しかし、いとこを満足させるために、彼はしばらくカルカッタにとどまることに決め、その後にプリーへと戻りました。
まだプリーで暮らしていたとき、バララームはケシャブ・チャンドラ・センが編集した本でシュリー・ラーマクリシュナの生涯と教えを読みました。また彼は、彼の家族の祭司の一人であるラームダヤルから手紙を受け取り、シュリ―・ラーマクリシュナの聖なる生涯の詳しい内容を知りました。ラームダヤルは師に直接会い、バララームに彼に会いにすぐにでも帰ってくるようにと書いたのでした。
こうして、カルカッタに着いた翌日、バララームはラームダヤルと共にドッキネッショルに行きました。それはおそらく1881年1月1日のことでした。
彼らは午後遅くにそこに到着し、ケシャブを含むブラフモーの信者たちで溢れかえっているシュリー・ラーマクリシュナの部屋を見つけました。
バララームは自己紹介するチャンスを見つけられませんでしたが、端っこに座り、師の話すことを聞いてました。シュリ―・ラーマクリシュナはこう言っていました。
「神は心からの切望なしには見ることはできない。そしてその切望は、世間の経験との関係を断つまでは得られない。愛欲と金に囲まれて生き、それらの経験を未だ終わらせていない者たちは、神を切望することはない。」
バララームが少し休憩を取ろうとして部屋を出て行くや否や、シュリ―・ラーマクリシュナはバララームの方を向いてこう仰いました。
「何か私に尋ねたいことがあるのではないかね?」
「はい、ございます。・・・・・・神は本当に存在しておられるのですか?」
「もちろんだとも。」
「人は彼を見ることができるのでございますか?」
「ああ。彼は、彼を最も近しき、そして愛しき者として思う信者に、御姿をお見せになるのだよ。彼に一度お祈りして何も返答を得られなかったからといって、彼は存在しないなどと断定すべきではないよ。」
「しかしなぜ、あれほど祈っても私は彼を見ることができないのでしょうか?」
するとシュリ―・ラーマクリシュナは微笑んで、こうお尋ねになられました。
「お前は本当に、わが息子と同じように愛しく彼を思っているのかね?」
「いいえ、師よ・・・・・・彼に対してそのように強く思ったことはありませんでした。」
それから師は、甘く、そして説得力のある声で、こう仰いました。
「神に祈りなさい。彼を自分自身よりも愛しいと思うのだよ。
心からお前に話そう。彼は彼の信者たちを、この上もなく好まれるのだよ。
彼はどうしても彼らの前に御姿を明かしたいのだ。彼は探し求められる前でさえ、人のところに来られる。人が神に一歩近づいたら、神はその人に十歩近づいてきてくださる。神よりも親しく愛を注いでくださる御方などはどこにもいないのだよ。」
バララームは非常に感動しました。師のすべての言葉が彼のハートに染み透ったのでした。