タンティパ
サンドーナガラという地のある織物職人には、多くの息子がいました。彼らの父はその地で織物業を営み、計り知れないほどの財産を持つようになりました。子供たちは同じ階級の妻たちと結婚し、生活を共にし、この機織りの家族全員は、途方もなく繁栄しました。
機織りの最後の妻が死んだのは、機織り自身が八十九歳のときで、すでに老いて弱っていたので、体がままなりませんでした。息子の妻たちは皆で順番に彼のそばにつき、世話をしていました。
ところが町の誰もが、彼の老齢のために生じたふるまいを馬鹿にし、笑ったので、彼の息子の妻たちは全員で相談し、
「人々はわたしたちの年老いたこの義理の父を遠ざけており、悪業を積んでいる。
庭に藁ぶきの小屋を作り、そこにおじいさんをおいて、養いましょう。」
という意見に全員が賛成し、その通りにしました。
その後、ジャーランダラパという名の師が、この地にやってきました。ジャーランダラパが機織りの長男の家に行って食べ物を求めると、彼らはグルに「そこにお座りください」と言いました。台所の中で様々な料理を作り終わると、彼の妻が夫にジャーランダラパを中へ招くよう指示したので、夫はその通りにしました。
中に入り、グルは食事をとりました。グル・ジャーランダラパが他の土地に出発しようとすると、機織りの妻は彼に、
「グルよ、ここで一晩おやすみください。」
と願いました。
「わたしは人がいるところでは寝ない。」
と彼は答えました。これに対して妻は、
「それでは、わたしどもの庭でお休みください。」
と言い、彼を庭に招きました。織物職人は燈火などを庭に運びました。
ジャーランダラパが庭でたたずんでいると、年老いた織物職人が人の音を聞いて、誰だか分らなかったので、
「そこで音を立てているのは誰だい?」
と尋ねました。
「わたしは旅の行者です。ダルマを実践する者です。あなたは誰ですか?」
と師は答えました。すると年老いた織物職人は答えました。
「わたしは彼ら織物職人たちの父だ。若いときは、この土地家屋の所有者だった。今では、息子たちと義理の娘たちはみんな、わたしを馬鹿にする。それでこの庭に入れられたのだ。確かに、この世の物事には実体がない。」
ジャーランダラパは、年老いた織物職人に言いました。
「原因と条件によって生成されたものは、すべて無常です。
輪廻に生まれたものはすべて苦しみです。
すべての存在は無我です。
ニルヴァーナは寂静にして楽です。
あなたには死後の糧となるダルマが必要なのではないですか?」
「必要です。」
ジャーランダラパは年老いた織物職人をへーヴァジュラ・マンダラでイニシエートし、教示を与え、彼に瞑想を始めさせました。そして、どこかへ行ってしまいました。
年老いた機織りはグルの教えを記憶しましたが、家族の誰にもそれを教えませんでした。教示を実践し、十二年間修行し、多くの特質を獲得しましたが、誰もそれを知りませんでした。
あるとき長男は、立派なシルクの衣服を縫って、めでたい行事の仕事に忙殺されて、父に食事を運ぶのを忘れてしまいました。その夜、義理の娘はそれを思い出し、夫と客人たちに気付かれずに食事を運んでいくと、小屋の中でともしびが眩しく輝いていました。彼女は、年老いた織物職人が十五人の娘たちに囲まれ、たくさんの種類の食べ物と、この世にはない装飾品と布があるのを見ました。
彼女は急いで家に戻りました。そして夫に、
「おじいさんを見に行って」
と言いました。
夫は父親が死んだのだと思って泣き出しましたが、他の者たちは庭に見に行きました。彼らは皆、同じものを見て、驚きました。
家の中に戻ると彼らは、
「このような者は人間ではない。悪霊だ!」
と言って忌み嫌いました。
朝になって家族全員が再び庭を見ると、サンドーナガラの人たちすべてがその年老いた織物職人を見にきて敬礼していました。老人は小屋の中から姿をあらわし、十六歳の容貌に変身しました。彼は体から無数の光を放ったので、すべての人々は彼を見ることに耐えられませんでした。彼の身体は磨かれた鏡のようで、すべてが光のように輝いていました。
年老いた機織りは、タンティパとしていたるところで知られ、生ある者たちに無数の利益をなしました。そして最後に、彼は身体を持ったまま、サンドーナガラの数えきれない人々と一緒に、ダーカの世界へ行きました。
信と献身を持ち、グルの教えを聞くことによって、この老人はこの一生でマハームドラーの成就を得たのです。