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クンサン・ラマの教え 第一部 第四章「カルマ:原因と結果の法則」(3)

(2)なすべき善き行ない

 一般的に、十の善き行ないは、十の悪しき行ないが悪しき結果を生むことを理解して、そのような行ないをしないという無条件の誓いを立てることから始まる。
 儀式的な誓いを行なうことは、必ずしも必要ではない。今後いかなる場合でも十悪を犯さないと自分の中で決心するだけでもよい。しかし、師の前や、三宝の象徴の前で約束するならば、それはより強力なものとなる。
 重要なのは、何があっても十悪を犯さないという誓いである。
 十悪を完全にやめることができないという人も、毎年ある時期だけ、あるいは特定の年、月、日だけ戒を完全に守るという誓いを立てることもよいことである。
 昔、村の肉屋が、聖者カッチャーヤナの前で、夜には屠殺をしないという誓いを立てた。その肉屋は地獄に生まれ変わり、毎日、昼間は赤い灼熱の鉄の家で苦しみにさいなまれたが、夜は女神と一緒に、心地よい場所で幸福に過ごした。

 十の悪しき行ないは、十の悪しき行ないをやめることと、それに関連する善き行ないからなる。
 身体に関する三つの善き行ないは、
(1)殺生をやめ、生き物の命を守ること
(2)与えられていないものを盗むことをやめ、布施をすること
(3)邪淫をやめ、規律に従うこと
である。
 言葉に関する四つの善き行ないは、
(1)嘘をつかず、真実を語ること
(2)不和の種をまかず、争いを和解させること
(3)悪口をやめ、快く話すこと
(4)意味のないおしゃべりをやめ、祈りの言葉などを唱えること
である。
 心に関する三つの善き行ないは、
(1)愛著を捨て、寛大であること
(2)嫌悪を捨て、他者を助けること
(3)誤った見解を捨て、正しい見解を自らの中に確立すること
である。
 このような善き行ないの結果が完全に成熟すると、三善趣に生まれ変わることになる。
 これらの善き行ないを原因とした相似の結果は、善き行ないに喜びを感じるようになり、功徳がどんどん増加していくことである。

 十の善き行ないの各々を原因とした相似の結果は以下のとおりである。
 殺生をやめることにより、ほとんど病気をすることがなくなり、長寿になる。
 与えられていないものを盗むことをやめることにより、繁栄し、敵や強盗に遭わなくなる。
 邪淫をやめることにより、魅力的な伴侶を得て、競争者がほとんどいなくなる。
 嘘をやめることにより、皆から称賛され、愛されるようになる。
 悪口をやめることにより、快い話だけを聞くようになる。
 意味のないおしゃべりをやめることにより、自分の話をまじめに聞いてもらえるようになる。
 愛著を捨てることにより、望みが叶うようになる。
 嫌悪をやめることにより、悪しきことが起こらなくなる。
 誤った見解を捨てることにより、心に正しい考えが育まれるようになる。

 十の善き行ないによって得られる「条件を与えられる結果」は、十の悪しき行ないによって得られる「条件を与えられる結果」と正反対のものである。
 
 十の善き行ないに関する「増大する結果」は、善き行ないを何度も繰り返し行ない、増幅され、幸福が増大し続けるということである。

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