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クリシュナ物語の要約(23)「ラーサの踊り」

(23)ラーサの踊り

 魂を魅了する、このようなクリシュナの言葉を聞くと、ゴーピーたちは、いまや主との別離の苦しみを癒され、さらにクリシュナの神的な身体に触れたことで、最高の祝福を得たのでした。

 そしてその後、クリシュナは、ゴーピーたちと腕を組んで一つの輪になり、楽しい「ラーサの踊り」を踊ったのでした。

 クリシュナは、多くの自分の分身を出すと、二人のゴーピーの間にそれぞれ入り、それぞれのゴーピーの首に腕を回して、自分の横にクリシュナがいると思わせながら、全員で一つの輪になり、喜ばしきラーサの踊りが始まったのでした。

 そのとき多くの神々と女神たちが、その踊りを見るために、何百もの天の車に乗って、その上空に集まってきました。

 やがてティンパニの調べが厳かに響き始め、空から花の雨が降り注がれると、ガンダルヴァ(音楽神)たちは、汚れなき主の栄光を高らかにたたえ歌ったのでした。

 その喜ばしき輪の中で、バガヴァーンであられるクリシュナは、美しき乙女たちの中で、眩しく光り輝きました。

 クリシュナの美しき恋人たちは、手と足でリズムをとりながら、眉を陽気に動かし、顔には笑みを浮かべて、胸を揺らせながら、波のように裾をはためかせて、主を賛美する歌を歌いながら、美しく輝いたのでした。

 踊りに熱中してわれを忘れたゴーピーたちは、クリシュナの神聖な体に触れたことを喜び、湧きあがる愛の思いに歓喜して、高まる愛によって声も美しく、全宇宙を満たすかのように、さまざまな愛の思いで賛歌を歌ったのでした。

 ヴィシャーカーというゴーピーは、クリシュナと一緒に合唱して、クリシュナよりも高い音階を歌い、美しいハーモニーを奏でました。それを聞いたクリシュナは大いに喜んで、
「やあ、すごいや、よくやったね!」
と拍手喝采を贈りました。

 ラーダーというゴーピーは、あまりにも熱心に踊ったために、腕からはバングルが外れ落ち、髪からはジャスミンの花を落として、踊りに疲れ切るや、横に立っていたクリシュナの肩を思わずつかんだのでした。

 またシャーマラーというゴーピーは、自分の肩に置かれた、睡蓮の香りを放つクリシュナの腕の香りをかぐと、喜んでそれに口づけをして、歓喜のあまり、体中の毛を逆立てたのでした。

 そしてシャイビヤーというゴーピーは、自分の頬をいとおしくクリシュナの頬につけて、クリシュナが噛んだキンマを自分の手に受け取ったのでした。

 さらにバドラーというゴーピーは、踊りと歌に疲れると、横に立っているクリシュナの御手を、いとおしく自分の胸に押し当てたのです。

 
 このようにゴーピーたちは、声高らかに主を賛美して、クリシュナから首にやさしく腕をまわされながら、全員で一つの輪となり、ラーサの踊りを踊ったのでした。

 クリシュナは朗らかに笑いながら、彼女たちの体に手で触れて、やさしく抱きしめたり、愛あるまなざしを投げかけたりして、鏡に映った自分と戯れる子供のように、ヴラジャの乙女たちと遊戯をしたのです。

 ヴラジャの乙女たちは、踊りにあまりにも熱中したために、花輪や飾りは緩んで落ちていき、髪の房や肩がけ、胸当てまでもが乱れてしまいましたが、主の神聖な身体に触れた喜びに圧倒されたために、それらを元通りにすることすらできなかったのでした。

 このようなクリシュナの遊戯を空から眺めていたアプサラスたちは、愛の思いに圧倒されて気を失い、月や星々は驚嘆の思いに満たされて、動くのをやめてしまったのでした。

 そしてその後、クリシュナは、踊りの疲れをいやすため、ゴーピーたちとともに、冷たいヤムナー河に入っていきました。

 このようにしてクリシュナは、ゴーピーたちとともに、いくつもの夜を楽しく過ごしました。しかしゴーピーたちは、あまりの喜びのゆえに、それをただ一夜の出来事と感じたのでした。

 さて、このようにゴーピーたちがいくつもの夜をクリシュナと楽しく過ごしている間、彼女たちの夫たちは、少しも心配や嫉妬の念を抱きませんでした。なぜなら、クリシュナのマーヤーの力により、その間、彼らは妻がずっと自分と一緒にいると感じていたからです!

 やがて、何度目かの夜明けが近づくと、ゴーピーたちは、後ろ髪をひかれながらも、クリシュナの許可を得て、自分たちの家に帰って行ったのでした。

 クリシュナとゴーピーたちの、このような恋の遊戯の物語を、正しい順序に従い、敬意を持って聞き、そして語る者は、全能の主への最高のバクティを必ず育てることができ、遠からず自分自身を支配して、欲望を超えていくことができるでしょう!

 
つづく

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