ガティーカーラ経(2)
さて、アーナンダよ、出家儀式を受けて間もないジョーティパーラ青年が、出家儀式を受けて半月後、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは、ヴェーバリンガに心ゆくまで滞在した後に、ヴァーラーナシーに向かって遊行し、順々に遊行していき、ヴァーラーナシーに入られた。そうしてアーナンダよ、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは、ヴァーラーナシーのイシパタナ・ミガダーヤにとどまられたのである。
アーナンダよ、カーシ王キキンは、『アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパがヴァーラーナシーに到着され、イシパタナ・ミガダーヤにとどまっておられる』と伝え聞いた。
そこで、アーナンダよ、カーシ王キキンは、多くの最高に素晴らしい車を用意させ、素晴らしい車の一つに自らも乗り込み、多くの最高に素晴らしい車を伴い、大王の威厳をもって、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにお会いするために、ヴァーラーナシーを出発した。車で行けるところまでは車で行って、車から降りて徒歩で進み、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパがいらっしゃるところを訪れた。進み出て、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパに挨拶し、かたわらに座った。
アーナンダよ、そこで、かたわらに座ったカーシ王キキンを、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは法話をもって教え示し、目覚めさせ、感動させ、喜ばせられた。
すると、アーナンダよ、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパによって法話をもって教え示され、目覚めさせられ、感動させられ、喜ばせられたカーシ王キキンは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにこう申し上げた。
『尊師よ、どうか明日、仏陀はビック出家教団と一緒に、私の食事をお受けください。』
アーナンダよ、そこで、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは、沈黙をもって同意した。
さてアーナンダよ、カーシ王キキンは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパがこれをお受けになったのを知ると、座を立って、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにお辞儀し、右回りに回って礼拝し、去った。
そしてアーナンダよ、カーシ王キキンは、その夜が過ぎた後、極妙な固い食事(野菜や果実)と柔らかい食事(飯・粥・むぎこがし・魚・肉)を、精白された米飯と、様々なスープや、様々なカレーで味付けされた食事を、自らの家に用意させた。そしてアラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパに、食事の時が来たことをお告げした。
『尊師よ、お食事の時間です。食事の支度が整いました。』
そこで、アーナンダよ、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは、早朝、着衣し、鉢と衣を持って、そのカーシ王キキンの家に赴かれた。赴くと、ビック出家集団と共に、もうけられた座に座った。
すると、アーナンダよ、カーシ王キキンは、仏陀を主賓とするビック出家集団に、ごく妙な固い食事・柔らかい食事を、自らの手で、満足するまでおもてなし申し上げた。
さて、アーナンダよ、カーシ王キキンは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパが食事を終えて、鉢から手を離されたとき、一つの低い座を取って、かたわらに座った。
さて、アーナンダよ、かたわらに座ったカーシ王キキンは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパに、こう申し上げた。
『尊師よ、仏陀は私によるヴァーラーナシーにおける雨安居(雨期の住居)をお受けくださいますように。サンガのために、このようなかたちで奉仕をなすでしょう。』
『いえ、けっこうです、大王よ。私はすでに住んでいる雨安居があるのです。』
アーナンダよ、再び、カーシ王キキンは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにこう申し上げた。
『尊師よ、仏陀は私によるヴァーラーナシーにおける雨安居(雨期の住居)をお受けくださいますように。サンガのために、このようなかたちで奉仕をなすでしょう。』
『いえ、けっこうです、大王よ。私はすでに住んでいる雨安居があるのです。』
三たび、アーナンダよ、カーシ王キキンは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにこう申し上げた。
『尊師よ、仏陀は私によるヴァーラーナシーにおける雨安居(雨期の住居)をお受けくださいますように。サンガのために、このようなかたちで奉仕をなすでしょう。』
『いえ、けっこうです、大王よ。私はすでに住んでいる雨安居があるのです。』
そのとき、アーナンダよ、カーシ王キキンは、『アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは、私のヴァーラーナシーにおける雨安居をお受けにならない』と思って、動揺し、落胆したのである。そしてアーナンダよ、カーシ王キキンは、アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパにこう申し上げた。
『尊師よ、あなたは他の誰かを、私よりも優れた奉仕者としてお持ちなのでしょうか?』
『大王よ、ヴェーバリンガという村・市場町がある。そこのガティーカーラという陶工です。彼は私の奉仕者であり、最高の奉仕者です。
大王よ、あなたは、【アラハント・正しく最上の覚醒を得た人であられる仏陀カッサパは、私のヴァーラーナシーにおける雨安居をお受けにならない】と思って、動揺し、落胆した。しかし、ガティーカーラ陶工にはこのようなことはなく、またこれからもないであろう。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、ブッダに帰依しています。ダルマに帰依しています。ビック出家教団に帰依しています。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、殺生から離れ、偸盗から離れ、愛欲における邪行から離れ、嘘をつくことから離れ、怠惰の原因たる穀物酒や果実酒などの飲酒から離れているのです。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、仏陀に対して絶対の浄信を具足し、ダルマに対して絶対の浄信を具足し、ビックサンガに対して絶対の浄信を具足し、聖者が愛する戒を具足しているのです。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、苦しみについて疑いがなく、苦しみの生起について疑いがなく、苦しみの滅尽について疑いがなく、苦しみの滅尽に至る方法において疑いがないのです。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、一食者であり、梵行をなし、持戒者であり、善き法を持っています。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、宝石・黄金を打ち捨てた者であり、金銀から離れているのです。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、棒や自らの手で大地を掘り返したりしないのです。川岸の崩れたところの土、あるいはネズミが掘り起こした土があれば喜んで運んできて、陶器を作り、こう言います。
【さあ、欲しい人は、米の分け前、あるいはインゲン豆の分け前、あるいはひよこ豆の分け前をここに置いて、欲しいものをお持ち帰りください】と。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、盲目の年老いた父母を養っています。
大王よ、ガティーカーラ陶工は、低い世界に結び付ける五種類の絆を完全に破壊して、かのところで完全なニルヴァーナに達して、あの世から戻ることのない性質を持つ者となるでしょう。
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