アディヤートマ・ラーマーヤナ(7)「ラーマの青年期」
第四章 ラーマの青年期
◎ヴィシュヴァーミトラ、ラーマを探しに到来する
かつて、炎のような光輝を有し、至高者自身が彼のマーヤーの御力を装うことでラーマとして降誕したということを理解している聖仙ヴィシュヴァーミトラは、彼と会うためにアヨーディヤーにやって来た。
ヴィシュヴァーミトラが到着したのを知って、ダシャラタ王は彼を出迎えるために、ヴァシシュタを伴って急いで出向き、供物を捧げた。
手を合わせ、大いなる信仰心を持って彼に礼拝し、王は非常に恭しく聖仙に言った。
「おお、偉大なる聖仙よ! あなたのこの神聖なる御訪問によって、私の人生の目的は達成されました。
あなたのような聖者様はどこに行かれようとも、訪問された家は大いに繁栄するのです。あなたがお越しになられた目的がなんであれ、私はその目的を果たすことを約束しましょう。」
王のもてなしに大いに喜び、偉大なる魂であるヴィシュヴァーミトラは、返答としてこう仰った。
「新月から十四日目に、私はデーヴァ方とピトリ(祖霊)方に特別な礼拝を捧げているのだが、毎回、マーリーチャとスバーフという名の二人の悪魔が従者を引き連れてやってきて、私の儀式を邪魔するのだ。
したがって、それらの悪魔を倒すために、どうかあなたの長兄のラーマを、ラクシュマナと共に私に貸してほしい。これは偉大なる功徳をあなたにもたらすだろう。
この申し出に賛同されるならば、どうかヴァシシュタにご相談され、それから彼らを私にお貸しください。」
この申し出を聞くと、ダシャラタ王は悲しそうにグル・ヴァシシュタに近寄り、こう尋ねました。
「おお、師よ! 私は今、何をすべきでしょか? 私の心はラーマを送り出すことに気が進みません。私が彼ら四人の息子を得たのは、わが人生が数千年経過した後だったのです。彼らは神同然です。彼らの中でラーマは最も愛しい。もしラーマがここからどこかへ行ってしまうならば、これ以上長く生きるのは私にとって不可能です。
しかし、もし私がヴィシュヴァーミトラの要求に対して、彼を送ることを拒むならば、あの聖者は確実に私を呪ってしまうでしょう。私の幸福を考えるならば、この場合において、私はどういった道をとるべきでしょうか? それに、不誠実な言葉を話すことも、私にとっては不可能なのであります。」
◎ヴィシュヴァーミトラの使命の真の対象
ヴァシシュタは、それに対してこう言った:おお、王よ! ラーマについての深遠なる真理をお聞きなさい。それは、あらゆる方法で公から守護されるべきです。
ラーマは人間ではありません。彼は、化身された、永遠なる、至高なる魂なのです。
地球の重荷を取り除くため、創造神ブラフマーは、人間として降誕してくださるように、彼に祈りを捧げられた。おお、敬虔な御人よ! あなたの家系に、ラーマとしてカウサリヤーに宿られた御方は、至高者御自身なのです。
あなたは過去生において、ブラフマーの子カーシャパ・プラジャーパティであった。この名高い女性カウサリヤーは、神々の母アディティーでした。
あなた方二人は禁欲を遵守し、マハーヴィシュヌを礼拝し、瞑想し、厳格な苦行を為していました。帰依者を愛する者として、彼らに恩寵を授ける者として知られてる至高主は、あなたのことを嬉しく思われたのです。
主はあなたの前にお現れになられ、あなたにあなたの望むものを選ぶように言われました。それに対して、おお、罪なき者よ、あなたは、世界の守護者である彼が、あなたの子としてお生まれになることを望んだのです。
あなたの要求に同意し、主である彼は今、あなたの息子ラーマとしてお生まれになったのです。おお、王よ! シェーシャそのものであられるラクシュマナは、常にラーマに侍っています。
矛を振り回す者マハーヴィシュヌの法螺貝と円盤は、バラタとシャトルグナとして化身されました。主の力、ヨーガマーヤーは、ジャナカの娘シーターとしてお生まれになったのです。彼女をラーマと会わせることが、ヴィシュヴァーミトラの到来の真の目的であります。これは、あなたが誰にも公開してはいけない、厳格に守護されるべき秘密なのです。
◎ラーマ、ヴィシュヴァーミトラに同行する
その後、非常に幸せな気持ちになった王は、尊敬すべきヴィシュヴァーミトラの保護の下に、ラクシュミーのコンソートであるラーマを、ラクシュマナと共に送り出すことを決意した。
ヴァシシュタの言葉を聞いたとき、ダシャラタ王は大喜びし、自分は人生の中で一番偉大な目的を達成したのだと思った。
彼は、ラーマとラクシュマナを傍に呼び、愛情を持って頭頂の匂いを嗅ぎ、彼らを抱擁した後、ヴィシュヴァーミトラの保護の下へと彼らを預けたのだった。
力強き聖仙ヴィシュヴァーミトラは、これを非常に喜び、一切に無限の祝福を与えることによって、自らの喜びを表現した。そしてラーマと、弓、矢筒、剣などを完全に装備して彼に仕えるラクシュマナを伴って、ヴィシュヴァーミトラはアヨーディヤーを後にした。
しばらく旅をした後、彼は大きな愛情を持ってラーマを呼び、天人の源泉であったバラとアティバラの二つのヴィディヤーを彼に授けた。これらの二つのヴィディヤーを知る者たちは、空腹と疲労から自由になるのである。
◎タタカの殺戮
そしてガンガーを渡った後、彼らはタタカの森と呼ばれる地帯に入った。
ヴィシュヴァーミトラは、真の英雄的性質を持つラーマの後について歩きながら、こう言った。
「おお、ラーマよ! ここはタタカという変幻自在の女悪魔の住処である。彼女はこの道を通るすべての生きものにとっての災難の種なのだ。ためらうことなく、彼女を殺しなさい。」
それに同意すると、ラグ族の子孫ラーマは、弓に弦を張り、それを弾き、その音を森全体に響かせた。
その音を聞くと、極度に気を乱され、ものすごい顔をしたタタカが、豪雨を伴った雨雲のように、極度に腹を立てて、ラーマのもとに襲い掛かってきた。
ラーマによって一本の矢を胸に射られると、その恐ろしい生きものは倒れ、滝のように血を吐いた。
そしてその中から、あらゆる種類の装飾品で飾り付けられた、非常に美しい姿のヤクシが現れた。呪いによって人食い鬼になっていたヤクシは、ラーマの恩寵によって、このようにして解放されたのだった。
ラーマに礼拝し、彼の周りを周り、彼女は、ラーマに命ぜられたままに、天界へと帰っていった。
リシ・ヴァシシュタはこれに非常に喜び、ラーマを抱きしめ、愛情から彼の頭頂の匂いを嗅いだ。それから彼はしばらく考えた後、計り知れない喜びを持って、偉大なる聖なるミサイルを、それらと関わるマントラと共に彼に授けたのだった。