いいじゃないか
お釈迦様の在家の弟子には王様も何人かいたわけだけど、その中で第一の信者だったビンビサーラ王という王様はね、彼の最初の息子が妃のおなかにできたときに、ある仙人に、「この子は後に、父を殺すであろう」と予言されるんだね。
それを聞いた妃は、いろいろな方法で、その子を流産させようとするんだね。しかしそれを知ったビンビサーラ王は、それをやめさせるんだけど、「でも、この子はあなたを将来殺すかもしれないんですよ」と妃が言うとね、「それがどうしたんだ。別にいいじゃないか」と、王は言うんだね。
素晴らしいよね? そしてね、これは有名な話なんだけど、この生まれた王子は、その後、ほんとうにね、父である王を、牢屋に幽閉して、餓死させるんだ。
しかしビンビサーラ王は、この子がね、父親殺しという大罪を犯してしまった無明のこの子が、何とか、お釈迦様のもとで、真理に気づきますようにと、祈りながらね、全く自分の死についてはこだわらず、苦しまずに、息子の不憫さだけを哀れんでね、死んでいくんだ。
このようでありたいね。こだわるな。別にいいじゃないか。周りの者が、他人が幸せであれば別にいいじゃないか。私のエゴにこだわるな。「私が」「私は」「私の」といったこだわりを持つな。「私はこんなことをされたんです」とか、「私はこれが不満なんです」とか・・・その自分の狭い心こそが、すべての不満や苦しみの原因ではないのか? 別にいいじゃないか。ただ周りの幸せだけを、あるいは真理の実践だけを、あるいはブッダの、神の意思のもとに生きることだけをね、至上のテーマとして生きる。それを実際に実践していたこの偉大なるブッダの信者である王を見習って、生きたいですね。