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「2011年ホーリーマザー生誕祭より」(2)

◎サーラダーデーヴィーについて

 それから今日は母なる神の現われであるサーラダーデーヴィーの御生誕日なので、サーラダーデーヴィーについてももう少し話をすると、サーラダーデーヴィーっていう方は、ある意味控えめな方だったんだね。他の聖者ほど、しっかり本とかもちろん書いたわけではないし、体系的な教えを残したわけでもない。しかしそばにいたラーマクリシュナの弟子たちは、まさに今言ったような形なんだけど、母なる神の完全な現われとして全幅の信頼を寄せてたんだね。
 それはね、ラーマクリシュナの高弟たちのサーラダーデーヴィーに対する態度を見ると分かる。もちろん本当に偉大な母なる神として尊重してるんだけど、それだけじゃなくて、本当に子供みたいに接してるんだね。あの論理的で威厳のあるヴィヴェーカーナンダですら、サーラダーデーヴィーの前で子供みたいに振る舞う。あるいはブラフマーナンダとかもそうだね。あるいはニランジャーナンダっていう弟子とかも――ニランジャーナンダって写真とかは顔はちょっといかつい感じなんだけど、サーラダーデーヴィーの前で子供のように「食べ物を食べさせてくれ!」とごねり続けたっていうんだね(笑)。しかも晩年ですよ(笑)。

(一同笑)

 ちょっといかつい感じのニランジャーナンダが、晩年結構おじさんになってるのに、まあちょっと分かんないけどね、想像するとね、「マザーよ! マザーよ! 何で食べさせてくれないの? 食べさせてください! お願いします!」っていう感じでごねたっていうぐらいだから、すごく宇宙の母として見てたんだろうね。
 ただサーラダーデーヴィー自身は非常に謙虚に振る舞い、例えばラーマクリシュナが亡くなった後もラーマクリシュナの故郷やあるいは自分の故郷に住んで、普通に家事をしてね、普通の世間の一人の女性としての生活を送りつつ、しかし一部のその正体を知る者からは、完全なる宇宙の母として崇められていた方なんだね。
 さっき女神もカーリー、ドゥルガー、パールヴァティ、シーター、ラーダー、ルクミニーといったさまざまな形をとるといったけども、当然このサーラダーデーヴィーも、一つのスタイルをとって現われてきたわけですね。
 サーラダーデーヴィーのさまざまな部分というのはいろいろ多様性があるので、興味がある人は『ホーリーマザーの生涯』とか『ホーリーマザーの福音』とかの本があるので、それを読んで欲しいと思いますが、よく彼女の言葉として現われるのは、「決して人を批判してはいけない」と。あるいは「人の欠点を見てはいけない」ということを何度も何度もいろんな人に言ってるね。で、これは彼女自身が言うにはね――自分も昔は人の欠点が見えることがあったと。だから、泣きながら師にお願いしたんだと。泣きながら、「どうかわたしが決して人の欠点を見ないようにしてください」と。それによって見ないようになった――と言ってらっしゃるんだね。人の欠点を見て何のいいことがありますかと。自分の心がけがれるだけだと。ね。
 あるいは、この世に一切他人はいないんだと。すべてあなたのものなのですよ――というような言い方をしてる。すべてを、一切ネガティブなものを見ることなく、すべてを愛し、すべてを受け入れなさいと。
 ただね、もちろんですよ、このサーラダーデーヴィーが本当に宇宙の母の化身だとしたら、これも一つのわれわれに向けてのスタイルです。つまり宇宙の化身としてわれわれのためだけに生まれてきた存在がですよ、人を批判することで悩んだりしないよね。ね(笑)。これは大体化身というのはそういうことをやるんだね。つまり欠点を持って生まれてきたようなスタイルを見せて、それを乗り越えることを見せるんだね。わたしもこういうのがあったけども、こうやって乗り越えたんですよと。だから皆さんもそうしましょうみたいな感じなんですね。
 だからサーラダーデーヴィーが残したメッセージっていろいろあるわけだけど、一つはこのことをわれわれは受け止めなきゃいけない。もう一回繰り返すけども、特に現代人とかね、現代の日本人とかもそうだけど、批評家になりがちなんだね。人のことをああだこうだ言って、自分はあまり努力しないと。あるいは自分と他人を比べて、その差異によって優越感を味わったり、逆に卑屈になったりとかすると。しかしもう一回言うけども、目に見えるものあるいはこの世界というのは、すべて他人はいない。すべて一つであると。あるいはすべて身内であると。あるいはどこにもネガティブなものはない。ネガティブなものを作り出してるのは自分の心だからね。何かを見て「あそこはこうだ!」って何かネガティブなものを見て、それが何になるんだと。
 これは本当に、もちろん皆さんは頭がいいから今わたしが言っただけでも分かるだろうけど、実践して初めて分かります。本当の意味ではね。皆さんこれから決して人の欠点を見ない。批判しない。そして逆にいいところを見て、あるいは皆が自分の身内であり、皆が本当に最愛の友であるというような気持ちで世の中を見ると。それによってこのネガティブなものは本来ないんだっていう意味が、だんだん分かってくると思うね。

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