「雪山へいざなう歌」
わたしの裸と変わった行為はあなたを困惑させているが、
わたしは、真理に巡り会わせてくれたこの身体に満足している。
そこには何の恥もない。
元々裸で生まれたのだから、恥じる理由はない。
知りつつも自制できず罪を犯す者は、両親の心を痛める。
グルの富や寺院の供物に寄生する者や、
自己の目的のために狡猾なやり方で他を傷つける者、
これらの者は自他を害し、神々や聖者を悲しませるだけである。
そのことをこそ恥と知るべきだ。
しかし、もしわたしの裸を恥じるなら、
母から生まれたときに持っていなかったあなた自身の大きな胸を、もっと恥じるべきである。
さらにまた、あなたは、
わたしには施しがないから、服も食べ物もなく瞑想している、と思っているかも知れないが、
そうではない。
わたしは、人々が生きたまま火の中に入れられる事を恐れるように、
「生まれ変わり」の世界と低い世界の苦悩を深く恐れている。
人々が快楽と8つの現世的反応に耽っているのを見るとき、
詰め込んだ食べ物を吐き戻す人のように、わたしは嘔吐を感じる。
いや、それどころか、我が父を殺した血染めの手を見るように、わたしは恐怖する。
それゆえわたしは、現世を放棄するのである。
さらに、グル・マルパの次のような指示によって、
8つの現世的反応を放棄するよう、わたしは助言された、
『汝は食と衣服と名声を放棄せよ。
ある隠遁地から他の隠遁地へと退いて行け。
熱烈に帰依に精進せよ』と。
わたしの実践しているのは、この教えである。
そうする事は、わたしに続く者の幸福のみならず、
すべての衆生の永遠の幸福を確立する。
わたしは、現世の営みと8つの現世的反応を求める道を放棄した。
もしわたしが富と安楽を得ようと思えば、
王のような富と安楽を得ることもできよう。
しかし、今生で解脱を得ることを望み、ひたすら瞑想に専念している。
あなたも8つの現世的反応を捨て、わたしと共に雪山に行き瞑想しなさい。
8つの現世的反応を捨て瞑想することができるなら、
今生でも来世でも幸福の太陽が、
燦然と輝いて照らすことだろう。
グル、衆生の保護者、三世の覚者の顕現、
8つの現世的反応に染まらぬ御方、
慈悲をもって弟子を祝福される御方、マルパ・ロツァーワよ、
あなたの御足に礼拝します。
この現世の生活の欲求に支配された、若い娘、
妹よ、わたしに耳を傾けよ。
第1に、輝く黄金の先端の付いた日傘。
第2に、中国産のシルクの縁飾りに囲まれること。
第3に、孔雀の尾のように美しく飾られた枠。
第4に、赤いビャクダンの取っ手。
これら四つのものが必要なら、わたしは得ることができる。
けれどもそれらは世俗のものだから、
わたしは、幸福の太陽を昇らせるためにそれらを捨てた。
同様に、おお、妹よ! 汝も一切の世俗の心を避け、
雪山へ瞑想に来るがよい。
共に、雪山へ行こう。
第1に、村の高みに位置する、鮮やかに塗られた小さな寺。
第2に、若いラマの雄弁な説法。
第3に、きれいな暖炉で暖められた、良いバター茶。
第4に、熱心に仕える若い僧達。
これら四つのものが必要なら、わたしは得ることができる。
けれどもそれらは世俗のものだから、
わたしは、幸福の太陽を昇らせるためにそれらを捨てた。
同様に、おお、妹よ! 汝も一切の世俗の心を避け、
雪山へ瞑想に来るがよい。
共に、雪山へ行こう。
第1に、儀式と儀礼、予言や占星術の申し分ない商い。
第2に、偽善に長けた尼僧院長と尼僧侶。
第3に、感覚的快楽のために宴の儀式をなす者。
第4に、女性の信者を騙す甘い会話。
これら四つのものが必要なら、わたしは得ることができる。
けれどもそれらは世俗のものだから、
わたしは、幸福の太陽を昇らせるためにそれらを捨てた。
同様に、おお、妹よ! 汝も一切の世俗の心を避け、
雪山へ瞑想に来るがよい。
共に、雪山へ行こう。
第1に、高い塔を持った壮麗な城。
第2に、広大で肥沃な畑。
第3に、貪欲に集められた食糧や宝物。
第4に、「生まれ変わり」の世界との関わりを深める大勢の従者。
これら四つのものが必要なら、わたしは得ることができる。
けれどもそれらは世俗のものだから、
わたしは、幸福の太陽を昇らせるためにそれらを捨てた。
同様に、おお、妹よ! 汝も一切の世俗の心を避け、
雪山へ瞑想に来るがよい。
共に、雪山へ行こう。
第1に、堂々とした長いたてがみの力強い馬。
第2に、宝石で飾り立て、黄金をちりばめた鞍。
第3に、壮麗な鎧を付けた強者。
第4に、敵を征服し味方を守る士気。
これら四つのものが必要なら、わたしは得ることができる。
けれどもそれらは世俗のものだから、
わたしは、幸福の太陽を昇らせるためにそれらを捨てた。
同様に、おお、妹よ! 汝も一切の世俗の心を避け、
雪山へ瞑想に来るがよい。
共に、雪山へ行こう。
8つの現世的反応を捨てて、
雪山へ来ることができないなら、
妹としての愛情は、わたしを乱す。
現世的会話は、修行を乱す。
生まれた瞬間から、人はいつ死ぬか分からない。
わたしには、帰依を遅らす時間はない。
わたしは絶え間なくこの身を瞑想にささげよう。
父なるグルの教えは、心を利する。
その教えに従って瞑想することにより、
わたしは、大いなる救済の幸福を得よう。
それ故に、雪山へわたしは行こう。
妹よ、汝は世俗の心に執着し、
大小の悪業を積む。
「生まれ変わり」の世界に関わることは、
3つの低い世界へ至ろうとすることである。
しかし、もし生と死の繰り返しを恐れるなら、
この生涯で、サンサーラの八つの目的を放棄せよ。
さあ、雪山へ行こう。
兄と妹とで、共に雪山へ行こう。