「ダーリカパ」
シャーリプトラという地に、インドラパーラという名の王がいました。ある日の正午ごろ、狩りに行った王が市場に出向くと、すべての人たちが敬礼しました。そのとき、王はその中にルーイーパがいるのを見ました。
「あなたのような容姿端麗で美しい者が、不浄なる魚の肝など食べるべきではない。私があなたに望みの食べ物を与えよう。他にも欲しいものは何でもあげましょう。もし王国が欲しいなら、それも与えよう。」
王がそう言うと、グルは答えました。
「もし老いと死から解放される方法をご存知なら、教えていただきましょう。しかしもしご存知ないなら、王国や王女さえも私には無意味です。」
「どうして欲しくないのか。」
「王国は取るに足らないものであり、大いなる障害である。私は、一切のものを放棄しました。」
その後、インドラパーラ王もまた、王国に失望するようになりました。そこで大臣であるブラーフマナに相談しました。
「私はこの世で王冠をかぶっているが、それが何になるというのだろう。さあ、ダルマに帰依しよう。妃のためには、十分な食べ物も着る物もある。だから息子に王国を譲ろう。」
大臣も、
「それがよろしいでしょう。」
と言いました。
王国を息子にゆだね、王と大臣の二人は、火葬場のルーイーパのところに行き、門をたたきました。
「誰か?」
師ルーイーパの声がしました。二人が答えると、
「では、入りなさい。」
と師は言いました。
彼らは入りました。師は二人にチャクラサンヴァラのマンダラを伝授し、彼らはその謝礼として自分自身の身体を捧げました。
その後、三人はオーデーシャの地へ行き、師弟は托鉢をしました。
次に彼らは、ビラプリー(ジンタプラの町とも言われる、人口30万の町)の地にやってきました。その町で彼らは、寺院で仕える700人の踊り子の女将のところへと向かいました。そこには300ほどの門がありました。
「あなた方の女将は人を買いませんか?」
ルーイーパが尋ねると、彼女たちは中で相談したのち、女将が、
「商品を見たいのですが」
と答え、門から顔を出しました。
彼がハンサムであったので、彼女は気に入り、聞きました。
「いくらですの?」
「金500トーラになります。」
ルーイーパは王を彼女に売りました。
そのとき、師は言いました。
「夜、彼を相部屋に寝かせずに、離れで一人にしておいてください。また、彼が料金分勤めたら、解放してください。」
そう言うと、師とブラーフマナの二人は去っていきました。
その後、その王は娼婦の屋敷で12年間、女性たちの足を洗ったり、体をマッサージしたりして働きました。しかしグルの教示を忘れることはありませんでした。王は自分のすべての仕事のほかにも、他の嫌がる面倒な仕事をしたので、召使たちはすべて、彼を大変尊敬していました。
ある日、クンジ王ともいわれる、ジャナパという名の王が、金500トーラほどを携えて、遊びにやってきました。彼が仕えたので、報酬として金7トーラを与えられました。
クンジ王はしばらくして、消化不良を起こしました。食べ過ぎによる胃炎でした。そこでクンジ王が真夜中に行ったり来たりしていると、庭の中からとても良い芳香が漂ってきて、光り輝いているのに気づきました。確かめに行くと、先ほどの召使が、15人ほどの娘たちに供養され、彼が玉座についているのが見えました。クンジ王は驚き、屋敷に向かって女将に報告しました。二人でそこへ行くと、やはり同じ光景が見えました。
女将は後悔し、彼の足に敬礼し、彼の周りを回り、懇願しました。
「私たちは凡夫でありますので、間違いを犯しました。あなたがこのような功徳ある方とは知りませんでした。私はあなたを召使のように扱って、大変な悪業をなしました。どうかわたしたちをお許しください。私は12年間、あなたを敬い奉仕します。」
彼がそれを受け入れると、王と女将の二人は、弟子にしてほしいと言いました。彼は空中に昇って、「町を空に溶かしこむ」という名の教示を語り、歌いました。
世間のふつうの王よりも、傘とゾウの玉座よりも、私の王国は優れている。
解脱の傘を持ち、マハーヤーナ(大乗)の上に乗り、
私、ダーリカは、三界という玉座で楽しむ。
彼は娼婦(ダーリカー)の召使だったので、ダーリカパという名前で知られました。
彼は700人の従者たちとともに、ダーカの領域に行きました。
師ダーリカカパの伝記、終わり。
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