◎すべてを平等に見る
【本文】
『神秘的な明智と謙虚な心によって、ブラーフマナも、牛も、象も、
犬も、犬食いも、一切差別することなく、賢者はすべてを平等に見る。』
『神秘的な明智と謙虚な心によって』
――つまり、明智、明智っていうのは経験に左右されない、全ての本質を見抜く力だね。その智慧と、そして謙虚な心によって、賢者っていうのは、まあ『ブラーフマナも、牛も、象も、犬も、犬食いも』っていわれてんのは、まあ、インドの一つの観念としてね、牛とか象っていうのはすごく神聖な動物だと。犬っていうのはけがれてると。それから、ブラーフマナってのはこれバラモンのことだね。人間の中で最も浄化されてるのはバラモンだと。例えばバラモンの階級の人が、他の階級の人にちょっとでも手を触れたら、沐浴をしなきゃいけないって決まりがある。それだけ、何ていうかな、観念的に人を差別してる。で、犬食いっていうのはこれは犬を食って生きるような、酷い階級の人ってこと(笑)。そういう階級がある。このカーストの人は犬を食って生きると。で、そういう一般的に社会的観念の中で、差別されるような人も、あるいは高貴に見られるような人も、いろんなものも全ては平等なんだと。
密教とかではよくそういう修行をするね。だから密教ではよく、これは実際にそれをやるかどうかは別にして、五甘露っていって、人間の糞、尿、それから精液かな、それから髄液かな、あと血液か。こういうのをぐじゃぐじゃに混ぜたものを、最上の甘露として食べる修行とかある。それは、実際は瞑想によってやるんだけど、昔の密教行者は本当にそれをやってたって話もあるね。
まあとにかく、いろんな不浄とか清浄とかいう観念も含めて、あらゆる差別感ていうのをなくすわけだね。そういう、全てを平等に見る人っていうのは――まあ、『賢者はすべてを平等に見る』と。
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