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要約・ラーマクリシュナの生涯(12)「修行の最初の四年間のその他の出来事」④

 前述のように、ゴダドルの従兄弟のホロダリは、もはや日々の祭祀をおこなうのが難しくなったゴダドルの代わりとしてカーリー女神の祭祀を任され、その後、シュリー・ラーダーゴーヴィンダの祭祀の担当となった。彼はヴィシュヌ神の辛抱者であり、聖典に忠実な考えや儀式を固守する人だったので、ゴダドルの聖典を無視した態度を非難していたが、同時に間近で見るゴダドルのたぐいまれなる神への熱意や没入状態に魅せられた。このように彼は、1858年頃からおそらく約六年間以上をゴダドルのそばで暮らす特権を得たにもかかわらず、心は常に尊敬と疑念の間で揺れ動いていた。

 後にラーマクリシュナはこう言っている。

「ホロダリは聖堂で礼拝しているときの私を見て魅せられ、しばしば『私は君の本性を認めた』と言った。それに対して私はよく冗談ぽく、『二度と間違えぬよう、気をつけなさい』と答えたものだ。すると彼は、『君はもう決して私の目をくらますことはできない。たしかに君の内部には神性が満ちている。今度こそは私にもそのことがよくわかった』と言った。私はそれを聞いて、『よろしい。その確信がいつまで続くものか、見ていましょう』と言うのだった。
 ところが、ホロダリが聖堂での奉仕を終えてかぎタバコを一服吸い、人々に対して『バーガヴァタ』とか『ギーター』とか『アディヤートマ・ラーマーヤナ』などの講釈を始めると、エゴイズムのために彼はたちまち別人となった。私はそこでその場に行き、
『あなたが聖典で読んだ状態を全部、私は自ら経験している。私はそれらを全部理解することができます』
と言った。それを聞き終わるより早く、彼は言った。
『なんと! 君は大馬鹿者だよ。こんな事を全部、君などが経験することができるものか』
と。
 私は言った。
『私は本当の事を言っているのです。これ(自分の肉体を指して)の内部にいらっしゃるお方が、あなたが今お話しになったそのお方のことを、何もかも説明してくださるのです』
と。
 それを聞くとホロダリはかんしゃくを起こし、
『出て行け! 奇妙な大馬鹿め! このカリユガに、カルキ以外の(そのようなことをすべて経験するような)化身が生まれることなど、どの聖典に書いてあるか。君は気が狂ったのでそんなことを言うのだ』
と言った。
 私は笑って、
『あなたはたった今、二度と間違えないと仰ったばかりではありませんか』
と言った。
 このようなことは一度や二度ではない。たびたび起こった。」

 あるときはホロダリは、ゴダドルがパンチャバティのバンヤン樹の上に裸で座って小便をしているのを見た。それ以後彼は、ゴダドルはブラーフマナであった男の幽霊に取り憑かれているのだと思うようになった。
 またホロダリはヴィシュヌ神の信者であり、ゴダドルが信仰するカーリー女神はタモーグナ(タマスの性質)からなる神であると信じていた。ある日彼はゴダドルにこう言った。

「タマスからなる神を拝んだ結果霊的に進歩するなどということがあり得るか。なぜ君はあの女神をそんなに一心に拝むのだ?」

 ゴダドルは自分のイシュタを中傷されて心を傷め、カーリー聖堂に行って、涙ながらに宇宙の母に尋ねた。

「母よ、聖典に詳しい学者のホロダリが、あなたはタモーグナからできていらっしゃると申します。あなたは本当にそうなのですか?」

 母なる神から回答を得ると、ゴダドルは喜びに満たされて、ホロダリのところへ飛んで帰った。そして彼の肩の上に乗り、興奮した声で何度もこう言った。

「あなたは、母はタマスからなるという。そうですか。母はすべてなのですよ。――彼女が三つのグナにおなりになったのです。そしてまた彼女は純粋なサットヴァグナなのです。」

 ホロダリはそのとき、法悦状態にあるゴダドルの言葉を聞き、またその身体に触れられたことで、まるで心の目が開かれたかのようになった。ゴダドルの言葉を心から承認し、彼のうちに母なる神ご自身のあらわれを見て、白檀香を混ぜた花を手にいっぱいに取ると恭しくそれをゴダドルの御足に捧げた。それを見たフリドエが、ホロダリにこう言った。

「おじさん、あなたは彼は幽霊に取り憑かれているとおっしゃるではありませんか。なぜ彼を礼拝なさったのですか?」

 ホロダリは答えた。

「私にはわからない。彼はカーリー聖堂から帰ってくると、私が何もかも忘れて彼の中に神の光を見るようにして、私をビックリさせたのだよ! カーリー聖堂にいる彼の所に行くと、いつでも彼は私の内部にそのような感じを起こさせる! おお、あのわけのわからない出来事! 私にはさっぱり理解できない。」

 ホロダリはこのようにして何度もゴダドルの中に神の光を見たが、かぎタバコを一服して聖典の講釈を始めると、学識から生じるエゴイズムに酔って、また元の自分に返ってしまうのだった。

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