第五章 超越的な力
死生通、天耳通、他心通、宿命通、神足通、
そしてすべてにあまねく障害なき漏尽通
これらが実に、賢者が有する超越的な力である。
きわめて清浄な第四禅定に至り、
無分別智が生じることによって
最上の超越的な力の成就に達する。
いかなる浄土や天に住するとしても
彼は諸方に赴き、もろもろの仏陀ともろもろの衆生を恭敬し、
もろもろの衆生を清浄に導く。
生起し滅尽する一切の世界を、幻の如しと観る。
そして自在な彼は、衆生の願いに応じて、種々なる神変を示す。
彼は光明を放ち、悪趣で激しく苦しむ衆生を天界に引き上げ、
魔の眷族を恐怖させる。
最上の衆生の中にあって無量のサマーディ遊戯を示し、
そして彼は、さまざまな世界に生まれ、さまざまな行為によって、
常に衆生の利益をなす。
彼は衆生を成熟させる能力があり、
仏陀からも称賛され、衆生からの信を得る。
賢者が持つ超越的な力とは、
六神通と、三明と、八解脱と、八勝処と、十遍処と、無量のサマーディである。
かの善なる賢者は、最上の自在なる悟りを有し、
不自在なる衆生を自己の自在の中に置き、
他者の利益をなすことを第一の欲となし、
実に獅子の如くに、無数の化身をもって、もろもろの世界に赴くのである。