供養の瞑想・その2
【本文】
柱は宝の光によってあでやかに、天蓋はちりばめた真珠で輝き、敷石は透明に輝く水晶よりなる、芳香ただようかの浴室のうちで、快適なる香水と花に満ち、大いなる宝石で作られた幾多の水瓶をもって、この私は、如来とブッダの子(菩薩など)を洗浴する。賛歌を唱え、音楽を奏しながら。
さらに、香を薫じ、汚れなく、類のない布で、私はその(ブッダや菩薩の)体をぬぐう。それから彼らに、色鮮やかな馥郁たる最上の衣をささげる。
柔軟にして優しい種々の見事な天衣、また種々なる装飾をもって、私は、サマンタバドラ、アジタ、マンジュシュリー、ローケーシュヴァラなどにも供養し奉る。
全三千世界に薫の行き渡る最上の香料をもって、私は--火で焼き、石で擦り、酸で洗った黄金のような光沢を持つ、すべての聖者の王の身を塗る。
薫高く心を奪う曼陀羅華、素馨の華のすべてをもって、またあでやかに組み立てられた花輪によって、最も恭敬すべき聖者の王を、私は恭敬する。
濃厚な行き渡るあでやかなにおいの香煙で、私は彼らを薫ずる。そして、いろいろの固い食物とやわらかい食物をもって、私は彼らに飲食の供物を供える。
また私は、黄金の蓮華の中に連ね並べた宝石の灯明を供える。そして香料の塗られた床の上に、楽しい花束をまきしく。
さらに私は、真珠と宝石のすだれで美しく輝き、諸方の面の装飾の光彩陸離たるかの楼閣の雲集と、楽しい賛歌とを慈悲尊に供養する。
優雅な黄金の柄によって高く掲げられ、真珠をちりばめて極めて美しい宝の傘を、この私は偉大なる聖者のためにささげる。
これからあでやかな供養の雲集と、すべての衆生の喜ぶ音楽歌唱の雲集とは、起こりあがれよ。
宝のごときすべての正法の上に、またストゥーパと仏像とに、絶え間なく、華と宝等の雨はふれかし。
妙音(マンジュシュリー)等が勝者(如来)を供養するように、私は尊き如来とブッダの子とを供養する。
音調の区分が海のように豊かな賛歌によって、私は功徳の大海をたたえる。そして、称賛合唱の雲が、彼ら(ブッダや菩薩)に対し、たがわずに起こらんことを。
また一切の仏国土にある微塵の数に等しい敬礼の数で、私は法と最勝なる(菩薩の)集団とを伴う一切三世のもろもろの覚者に敬礼する。
すべてのストゥーパを、また菩薩の所依を私は崇拝する。拝むべき親教師に、また長老に帰命する。
覚醒の境地を得るまで、私は覚者に帰依する。また真理の法に帰依し、菩薩の集まりに帰依する。
【解説】
この辺は前からの続きで、様々なタイプの供養のイメージを述べているわけですね。
ところで、前にも書いたように、イメージの世界も現実の世界もどちらも幻影なので、本当に心がこもっているならば、これらはイメージとはいえないわけです。
私はラーマクリシュナとシャーンティデーヴァが好きなんですが、この辺を見ると、共通点を感じますね。
ラーマクリシュナはカーリー女神に強い帰依をしていたわけですが、たとえばカーリー女神の像に食事を供養するときなど、まるでその像が本当に生きているかのように、口元に食べ物を持っていったり、笑って会話をしたりしていたといいます。それはそういう儀式をやっていたというわけではなくて、彼の中では、本当にそれは像ではなくてカーリー女神そのものになっていたのでしょう。
このシャーンティデーヴァの記述も、単に供養の瞑想の仕方を述べているわけではなく、シャーンティデーヴァは本当に供養と帰依の気持ちの高まりのゆえに、ラーマクリシュナのように、その世界に入り、実際に供養の喜びを楽しんでいたのではないかと感じますね。
そして我々が日常生活においてこの部分の記述を取り入れるとするならば、部屋に祭壇を作り、そこをブッダや菩薩たちと親交する場と決め、その祭壇に、様々な食べ物や飲み物や、お香、華、装飾品などを供養するということはできますね、
このような供養の儀式の重要性は形ではありませんが、もし本当に心がこもっていたならば、おのずと形は整ってくるでしょう。とにかくまず供養の心を強く持つ事が大事です。【供養しよう】ではなく、【どうか供養させてください】という強い気持ちが大事ですね。そうすればおのずと形は整います。
そしてもう一つのやり方は、日常生活において、五感で感じるすばらしいものをすべて心の中でブッダや菩薩に供養するということですね。食事をするときも、服を着るときも、きれいな景色を見たときも、何をするときも、まずすべてを心からブッダや菩薩に供養するという癖をつけるといいでしょう。
ちなみに、途中で出てくるサマンタバドラとは普賢菩薩、アジタとはマイトレーヤ(弥勒菩薩)のことで、マンジュシュリーは文殊菩薩、そしてローケーシュヴァラは「世自在」と直訳できますが、これは観音菩薩と同一とされます。これらは大乗仏教や密教で重視される菩薩方ですね。
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